今年度の新作は、まずアルティ・ブヨウ・フェスティバル2008(京都府立府民ホールALTI)への参加からスタートしました。日本人が鼠色を100通りにも見分けることができるとする。江戸時代の言葉「百ねずみ」に着想を得て、ダンスをめぐる時空間のグラデーションを舞台に乗せる試みでした。その後2008年6月に「九十九かみ」、同年10月に「百一み」を西陣ファクトリーGardenで研究上演し、大胆な衣装、意外性のある音楽やテキストと振付の組み合わせがひそかに話題となっています。この3度の上演を通じ、さまざまなご意見を聞く機会にも恵まれ、再考を重ねて、このたび一挙上演に挑みます。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
有料オンデマンド配信。視聴にはvimeoの会員登録が必要です。(レンタル550円~)
1997年、隅地茉歩と阿比留修一によって設立。カンパニー名のセレノグラフィカとは、selenography(月面地理学)+icaで「月究学派」(時間や場所によって変化する月のように、一見とらえどころの無いダンスやアートを追求する者たち)の意の造語。結成後、関西を拠点に国内外を問わず幅広く活動を継続、多様な解釈を誘発する不思議で愉快な作風と、緻密な身体操作を持ち味としている。初期には文学性の強い耽美派の作品を、中期にはパートナリング主体の運動性の激しい作品を、近年は想像力に強く訴えかける彩り豊かな作品を数多く創出し、好評を博す。
去る3月に京都の毎日新聞ホールで初演した「10099101」は、昨年3度にわたって創り継いでいった各章の一挙上演であった。作品を纏めていく過程で思わず吹き出た突起物を、あえて肥大化させてみたい。この機会に、正史に対する異伝、自作を食い荒らす鬼子のようなものを産みたいと思う。例えばほくろを癌に変えるように。
宝探しか鬼退治か踊るぬいぐるみと、かかとの無い男の熱くも乾いた《動き》の旅しばし眉間の縦じわを忘れ未だ踏み知らぬ島々へ、いざ
一組の男女がテーブルと椅子に「着席」することから着想したこの作品は、築80年の町家で、リコーダーの生演奏と共に初演。抜粋改訂版はTOYOTA CHOREOGRAPHY AWARD 2005「次代を担う振付家賞」を受賞。翌年欧州遠征で上演。現在は、デュオ版とトリオ版がある。