「大切なのは、この人達がこれから先も生きていったってこと──」
三姉妹の〝光と闇〟を描く、ナイロン100℃家族劇の傑作!
1976年。小説家・柏木伸彦(廣川三憲)は伯母から家を譲られ、妻・基子(松永玲子/2役)、7歳の長女立子(犬山イヌコ)、5歳の次女艶子(峯村リエ)、2歳の三女類子(坂井真紀)と御五色村に転居した。そこに伸彦のファン、三好(三宅弘城)が転がり込む。
立子は10歳で文壇にデビューし才能を開花させる。一方、基子は新生活に馴染めず別居。伸彦から離婚を切り出され自殺する。半年後、信彦は交際する志田潤(長田奈麻)と入籍した。
2007年。柏木家に伸彦のドキュメント映画撮影で映像作家の滝本(岡田義徳)と助手の大鍋(大倉孝二)が訪れる。家には寝たきりの伸彦、立子、三好、艶子と夫の寅夫(みのすけ)。そこへ女優になり、失踪騒ぎを起こした類子が戻ってくる。
さらに編集者・皆藤(長谷川朝晴)と妹みどり(皆戸麻衣)、プロデューサー・飛石(松永/2役)と部下の田村(喜安浩平)、潤と再婚相手(吉増裕士)が出入りする中、三姉妹の思いが明らかになっていいく──。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
ナイロン100℃の前身となる「劇団健康」は、1985年、当時のインディーズバンドブームの中心的存在にあったバンド「有頂天」のボーカルを務めていたKERAを中心に、犬山犬子(現・犬山イヌコ)、田口トモロヲ、みのすけらによって旗揚げされた。ナンセンス・コメディを中心とした本公演14作品と数々の番外公演を上演し、高い評価と人気を得るも、1992年に解散。翌1993年、再びKERAを主宰として、犬山、みのすけ、峯村リエ、三宅弘城、今江冬子、藤田秀世、手塚とおるらで、ナイロン100℃を立ち上げ、1st SESSIONとして『インタラクティブテクノ活劇 予定外』を発表。
公演をSESSIONと称することに表れているとおり、劇団員に加えて客演やクリエイティブ・スタッフとともに、ナイロン100℃にしかできない表現を生んでいる。
これまでナンセンスな笑いを交えた作品をはじめ、シチュエーション・コメディ、ミステリー・コメディなどを上演してきたが、近年は岸田國士、フランツ・カフカ、別役実などをオマージュした作品や、壮大な群像劇など、多彩な舞台を発表している。
2019年、第45回公演『百年の秘密』(再演・2018年上演)にて、第26回読売演劇大賞 最優秀作品賞を受賞。
「あの木は誰よりも知ってるのよ。ベイカー家の秘密を」。二人の女性の友情を軸に、慈悲なき世界で秘密に翻弄される人々を巧みにコラージュ。人生を超えた視点から生の営みを俯瞰する、ケラリーノ・サンドロヴィッチ会心の年代記、再び!ずっとずっと昔の良き時代。狼に襲われた少年を救い上げた伝説を持つ楡の木を、取り囲むように建てられたベイカー家の館。ここに住むのは楡の木に助けられた少年の息子で、今は銀行家のウィリア
1988年、劇団健康での初演以来、再演を繰り返すKERAの代表作にして唯一の私戯曲。波音の聞こえる浜辺の病院で、みのすけ少年はちょっと知恵の足りない仲間の患者達と脱走計画を企てている。そんな患者達を阻止しようとする医者や看護婦たち。彼等はスパイで、患者を逃がさないように見張っている。だが患者達は、その症状のせいなのかまったく集中力がなく、脱出は難航する。一方、その脱走劇と同時進行で、ボケ始めたみの
岸田戯曲のとてつもない面白さと奥深さに打ちのめされたKERAが贈る「岸田國士一幕劇コレクション」第二弾。円形劇場を縦横無尽に駆け巡るパノラミックな和装劇!実直なパン屋一家(志賀廣太郎、長田奈麻、新谷真弓、森田甘露)を予期せぬ出来事が次々と襲い、茶の間がいきなり怒涛のSF的展開へ突入する表題作『麵麭屋文六の思案』と続編『遂に「知らん」文六』。無邪気な子どもたちの歌声が響く学園で、大人たちの愛憎劇が繰
昔は裕福だったが今は没落している廻一家がある日、ボロアパートに引っ越してくる。その日は長女・想子(新谷真弓)が日航機墜落事故で亡くなった命日。墓参りだけはしようと、アル中の母親・澄代(峯村リエ)は家族を促すが、ぐうたらな父親・時雄(佐藤誓)も、長男・時次(大倉孝二)も次女・春江(長田奈麻)も無反応。そんな絵に描いたような崩壊家族をなぜか大家夫婦(原金太郎・池谷のぶえ)はアパートから追い出そうとして