近代日本の曙を描く新劇の記念碑的作品。1934年、新協劇団の旗揚げ公演として初演、青山半蔵役の滝沢修の演技が絶賛されました。初演から30年周年に当たる記念すべき年、滝沢をはじめとする民藝ならではのアンサンブルで力強く厚みのある舞台を再創造しました。2部作の第1部。10景中6景のみ。幕末、木曽路馬籠宿。本陣青山家の若主人半蔵は、学問好きの多感な青年で、国学に心を寄せていました。しかし黒船の来航で街道の通行がにわかに激しさを増してきます……。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
事前予約フォームより予約の上、ご来館ください。
劇団民藝は1950年4月3日に創立(前身は1947年発足の民衆芸術劇場=第一次民藝)。築地小劇場、新協劇団など「新劇」の本流を歩んできた滝沢修、清水将夫、宇野重吉、北林谷栄らによって「多くの人々の生きてゆく歓びと励ましになるような」民衆に根ざした演劇芸術をつくり出そうと旗あげされました。2000年からは大滝秀治、奈良岡朋子が代表をつとめ、現在は小杉勇二、樫山文枝、日色ともゑ、丹野郁弓を中心に、劇団ならではの層の厚さを生かしたアンサンブルによる密度の濃い舞台づくりをめざしています。
実存主義者サルトルの恋愛喜劇。19世紀の優れたシェークスピア俳優キーンの生涯を題材に、1836年に上演されたデュマの「キーン、あるいは狂気と天才」をサルトルが現代的に改作。シェークスピア劇を演じるキーンを、滝沢修が颯爽と演じて話題を呼びました。19世紀初め、ロンドンの社交界では二つの噂がもちあがっていました。デンマークのイギリス大使夫人がキーンに惚れているという噂と、大富豪の娘がキーンと旅立ったと
日本演劇史に燦然と輝く金字塔――リアリズム戯曲の最高峰と言われる久保栄渾身の人間ドラマ、2部作の第1部です。日本がファシズムへの道を突き進む1930年代の北海道を舞台に、農業技術の発展とそれを阻む古い生産関係との相克を描き、この国の近代の特質を構造的に摑まえようとした大作。農産実験場の支場長は、十勝の火山灰地にはカリ肥料が重要だと力説する。しかしそれは義父でもあり恩師でもある農学博士にたてつき、国
自身の体験から老親介護の実態を描き大反響を呼んだ佐江衆一の長編小説「黄落」を劇化し、高齢化社会の問題に正面からとりくむ上演。北林谷栄が脚色・主演し、本作の脚色によって紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。
原作小説はフランスの文豪エミール・ゾラが19世紀パリで生きる下層階級の人間群像を描いた名作。ソビエトで脚色されたバージョンを北海道をはじめ各地で上演し、東京では追加公演をおこなった。