二輪の菊はどうしても花器に調和しない。通子の指をもてあそんで、何とか落ちついてくれたかと思うと次の瞬間には、小さな床の間の空白を破って、調和を大きく崩した。やはり一輪だけにした方がいい。もともと鼠志野の鶴首になった花瓶は一輪ざしで、白と薄紫の二輪では、一つの首に二人の女の顔が載っているようで重すぎるのだ。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
東宝演劇部は、阪急電鉄、阪急百貨店、宝塚歌劇団を設立した小林一三(1873~1957)が1932年に東京に設立した映画演劇の製作興行会社、東宝株式会社の演劇部門です。現在東京・日比谷に帝国劇場とシアタークリエを直営劇場として経営しており、通年において様々なジャンルの演劇の企画、製作、宣伝、興行をおこなっております。
戦争をはさんで時代を駆け抜けた天才漫才師「ミス・ワカナ」の生涯を、史実をもとに描く大作。各地の方言を自在に駆使する「しゃべくり漫才」や、ラジオの生放送でのアドリブから生まれた奇跡の「泣かせ漫才」で大評判をとった「ミス・ワカナ」。『おもろい女』では、ワカナが十五歳で相手方・玉松一郎と出会い、結婚、別離、戦争を経ながら、漫才で頂点を極めるまでをドラマティックに描く。
樋口一葉の「にごりえ「たけくらべ」「十三夜」「わかれ道」を組み合わせた蜷川幸雄演出の舞台。
1966年の有吉佐和子の傑作小説を舞台化。江戸時代中期、紀州の名門・妹背家の娘・加恵が隣村の貧乏医者、華岡家に嫁いできた。花婿の青洲は三年前から京都で医学の修業の身。花婿のいない祝言ではあったが、姑の於継に憧れていた加恵は華岡家の嫁になれただけでも幸せだった。その上、於継は加恵を大事にし、その睦まじさは人も羨むほどであった。青洲の妹、於勝や小陸にも加恵はよく尽くした。ところが、青洲が京都より帰郷す
織田作之助原作の「わが町」を舞台化。