(パンフレットより)
「ほろほろ」
今まで、たくさんの人と別れてきて、きっと、これからも、別れるだろうと、
そう思って、この作品は出発した。
記憶を巡ってみても、思い出すのは、断片的な、
しかも、ぼやけて色褪せた、曖昧な風景で、
そんな、脳内の、それに、
フォーカスを合わせ、シャッタースピードも最速に上げて、
記憶の一瞬を、捉えようと試みた。
それが、どれだけビビットに映ったか、
もしくは、もう、記憶は、ぼやけたままなのか。記憶に、立ち止まってはいけないのか。
また、春が来たら、
それぞれ、新たな記憶を求めて、散り散りになる。
もう、
口の中じゃ、鉄の味で満ちていて、
匂いは、もう、夏を意識している。
街は、着実に、進んでいる。
さよなら、さよなら。
先に、行きます。
藤田貴大
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
藤田貴大が全作品の脚本と演出を務める演劇団体として2007年設立。2012年よりオリジナルの演劇作品と並行して、他ジャンルの作家との共作を発表。あらゆる形で作品を発表し、演劇界のみならず様々なジャンルの作家や観客より高い注目を受けている。
(チラシより)どこからともなく届く光は、自然から成されたものではないことは解っていた。いつかの誰かが、誰かへ向けて発した光だった。ある人は、その光を見て見ぬふりをした。ある人は、その光自体を無いことにしようとした。しかしわたしには届いていた。届いたからにはわたしからも光を送りたくなった。届く光に微かな瞬きを感じた。光が在るということは、その傍には誰かがいるはず。光の合図は確実にここまで届いている。
(チラシより)いつだってずっと、もう何年も。どこか内側に在るシーンというシーンは、眼裏で目まぐるしくリフレインしている。最速のスピードを持って、脳内を駆けめぐる。あの季節の、あの湿度のなかを走りつづけている。もしくは、歩いている。校舎のなかを。休み時間、教室から教室へ。廊下を、歩いている。なんともない日々の眺め。しかし、その平穏さが一変する瞬間。いつのまにか忍びよっていた影に気づかずに、ある瞬間。
2013年に演劇作家・藤田貴大率いるマームとジプシーは、漫画家・今日マチ子「cocoon」を原作に、沖縄戦に動員される少女たちに着想を得て製作・発表した。2022年の再再演では東京公演が一部中止になるものの、全国9都市での上演を果たした。本作は、マームとジプシーがどのような思いで沖縄と向き合い、3度目の上演に取り組んだかを描く。製作過程や公演中止を判断した場面を中心に、今の時間を取り入れ描いた映像
マームとジプシーが小説家・川上未映子とタッグを組み、川上の書き下ろしの詩を含む6作品を俳優・青柳いづみの一人芝居として上演。2014年3月から約2ヶ月をかけて全国8都市にて巡演。