(パンフレットより)
今日さんの絵の、淡い水色の先に存する、おおきな暗闇のようなものに魅せられてしまった、どうしたものか。どうすればこれを、ぼくの。マームとジプシーでの日々の作業に、融合させることができるか。ずいぶん、長いこと。彷徨っていたようにおもう。やがて遠くのほうから。或いは、どこか切れ間から。郁子さんの音が、まるで降ってきたように、聴こえてきた瞬間があった。こうして、つながって。この場所、ひととひととが会する、この場所へと至った。この場所で、ぼくらは相も変わらず、繰り返す。なにもかも、零さぬように。かなしみも、怒りも、くるしみも。だれかを、なにかを、想うこと。帰るところ、たとえば故郷を、想うこと。あのころ、あの時代、いま。それら総てを、終わらせないために。繰り返し、繰り返し。それでもやがて訪れる、終わりのために。暗闇へ向かって。海へ向かって、走る。走る。行き着く海は、どんな海なのだろう。それはやっぱ、ぼくだけじゃ、眺めることができない海なのだ、どうやら。とにかく、走るよ。走ってみるよ。いろんな想い、抱えながら。
2013.7.22 早朝。
藤田貴大
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
藤田貴大が全作品の脚本と演出を務める演劇団体として2007年設立。2012年よりオリジナルの演劇作品と並行して、他ジャンルの作家との共作を発表。あらゆる形で作品を発表し、演劇界のみならず様々なジャンルの作家や観客より高い注目を受けている。
マームとジプシーが小説家・川上未映子とタッグを組み、川上の書き下ろしの詩を含む6作品を俳優・青柳いづみの一人芝居として上演。2014年3月から約2ヶ月をかけて全国8都市にて巡演。
「コドモも、モモも、森んなか」いつか、モモとゆう存在を、なくすのだとわかってはいたけれど、やっぱりなくしてしまって、そのことがやっぱりおおきかった。七月だった。モモが、なくなったのは。かんがえちゅうで、まだまとまらない。モモが、なくなってしまって、鳴らなくなった音があった。でもそれでも、物音がすると、モモじゃないかと振り向いてしまう。まだモモが、いるような気がして。音をさがす。そんな時間を、つくら
マームと誰かさん・さんにんめ
マームとジプシーを率いる藤田貴大が第56回岸田戯曲賞を受賞した直後、他ジャンルの作家との共作シリーズ「マームと誰かさん」を企画し、小さなギャラリーにて作品を発表。このシリーズはその後マームとジプシーに大きな影響を与えました。その第三弾は漫画家・今日マチ子さんとのコラボレーション。
マームと誰かさん・ひとりめ
マームとジプシーを率いる藤田貴大が第56回岸田戯曲賞を受賞した直後、他ジャンルの作家との共作シリーズ「マームと誰かさん」を企画し、小さなギャラリーにて作品を発表。このシリーズはその後マームとジプシーに大きな影響を与えました。その第一弾は音楽家・大谷能生さんとのコラボレーション。