「柴まだわかんないの?」
「あ、わかったかも。」
■ものがたり
チンピラになりきれない男は、仕事のため暫くの間地元を離れるという仲間から庭の防空壕に暮らしている人々の世話を依頼される。小学校時代の同級生ら4人を15年間閉じ込めているというのだ。不便な地下生活にもかかわらず、無邪気で無垢な彼ら。世間に愛想を尽かした在日外国人の男も純粋でどこか甘美な地下生活に魅せられていく。束の間の交流は、仕事を失敗し帰郷した男の存在によって断ち切られる。そもそもこの監禁事件は、男の歪んだ愛情から始まったものだった。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
阿佐ヶ谷スパイダースは1996年の旗揚げから、毎回キャストを集めて新作を発表する「演劇プロデュース・ユニット」として活動してきました。これは作品の多様性を高めるためには実に最適な形態であったと言えます。「劇団」と称していなかったからこそ、多くの方々と創作をする機会を得、20年間という年月解散することなく続けて来られたのかもしれません。ですが、沢山の人に支えられ活動してきた20年間で<演劇>を取り巻く状況は大きく様変わりし、同様に我々の思考も変化しました。より「過激」に自分たちの理想を追い求めるため、<より自由に><より幅広く>活動を展開していくために、2017年5月、満を持しあえて「劇団」として活動していくこととなりました。現在劇団員は 36 名。演劇を生業としている者から、会社員・主婦・学生・写真家など様々な業種の劇団員が在籍。緩やかに繋がっているような我々なりの新しいカタチを模索します。
ある夏の日、<友>が<私>を訪ねてくる…登場人物はその二人だけ。長い長い別れ話が始まった。■ものがたり蒸し焼きにされそうなある夏の日。畳の上で部屋着姿のまま床にはいつくばる「私」の前に、高校時代の同級生「友」が現れる。話を聞くと、自転車に乗ってずいぶん遠くから走ってきたという。久しぶりの再会に喜ぶ二人は、じゃれあうように会話を楽しむ。しかし、ふとしたはずみで出る「友」の言葉は、二人の間には埋めるこ
何回も言うけど、政治の話じゃねぇんです。■ものがたりファシズム再来の新日本帝国。そこでは一切の表現活動が禁止されていたが、アル中を中心に構成された反体制グループ「山崎」の人々は、収容所に送られることを覚悟でショーの準備を進めていた。しかし仲間の密告によりショーは開演直前に一斉検挙、バレエを踊り続けたリーダーの妻は殺されてしまう(第一部)。特効警察の施設で体制側に協力する元「山崎」の主要メンバー。仲
バリアフリー化を余儀なくされる家。独り住む老婆は美意識を損なう老いを受け入れることが出来ない。娘や息子はさらにその先の改装・改築を考える。老婆は彼らにこの家を渡したくはない。同居の甘言を囁く子供達孫達と、歳を重ねるごとに性格が激しく歪む老婆との応酬。さらにこの家を設計した建築家、既に先立った夫の幻影と思い出が現在と入り混じり、ますます老婆の言動は乱れゆく・・・
清玄の足取りは覚束ない。その時一人の男、権助とぶつかる。権助の目つきはケモノのようである。清玄はその恐ろしい眼から、しかし視線を逸らさずにいる。権助もまた同様に。やがて互いに顔を背け、歩き出した瞬間、完全に点対称で動いた事に一瞬振り向く二人だが、気のせいだとそのまま歩んでいく。戦後復興の救世主、慈悲深き聖人と呼ばれる清玄の孤児院さくら学園。今日、『彼女』はそこから嫁ぐ。彼女が見つめる窓の外を楽隊が