「柴まだわかんないの?」「あ、わかったかも。」■ものがたりチンピラになりきれない男は、仕事のため暫くの間地元を離れるという仲間から庭の防空壕に暮らしている人々の世話を依頼される。小学校時代の同級生ら4人を15年間閉じ込めているというのだ。不便な地下生活にもかかわらず、無邪気で無垢な彼ら。世間に愛想を尽かした在日外国人の男も純粋でどこか甘美な地下生活に魅せられていく。束の間の交流は、仕事を失敗し帰郷
「殺人」も「宗教」も不安というありふれた感情から起きている。■ものがたりマンションの一室。兄の結婚資金を調達するため、弟は仲間と集まって女性宅を空き巣している。しかしひょんなことから、部屋に残されてしまった弟に好意を寄せていた仲間内のバイトの子と、結婚を目前に控えた兄とがめくるめく愛の世界に陥っていく。結婚当日、ログハウス風の山小屋で婚礼は行われる。新興宗教に凝っている兄夫婦の奇妙な結婚儀式に付き
その手紙にはこうあった。三日後に、赤ん坊を殺す。■ものがたり阿佐ヶ谷スパイダース初の男のみの公演は、姉の死の直後、その恋人の男がデリバリーヘルスを呼んでいたことを知った弟の3年に渡る3話構成の復讐劇。1話目は蝉だと言い張って木に貼り付いた男と、彼に住みつかれてしまった刑事との間の奇妙な友情の話。2話目はある誘拐事件を元に慌ただしく捜査を始める、意外に暇な新宿の刑事たちの姿をコミカルに描く。3話目は
様々な女性の恋愛を描いたひとつの町で起こる3話オムニバス。■ものがたり(1)新製品の開発に励むおもちゃ会社の社員たち。遊び半分で匿名投函の目安箱を設けたところ、上司と部下のドロドロ不倫など同僚の裏の顔を告発する内容が多発する。(2)自宅マンションの隙き間に挟まった子供を助けたいが、ダンスパーティーにも行きたくてたまらない夫婦。遊び仲間の乱入は事態を悪化させていく。(3)芸能事務所と称して若者をスカ
何回も言うけど、政治の話じゃねぇんです。■ものがたりファシズム再来の新日本帝国。そこでは一切の表現活動が禁止されていたが、アル中を中心に構成された反体制グループ「山崎」の人々は、収容所に送られることを覚悟でショーの準備を進めていた。しかし仲間の密告によりショーは開演直前に一斉検挙、バレエを踊り続けたリーダーの妻は殺されてしまう(第一部)。特効警察の施設で体制側に協力する元「山崎」の主要メンバー。仲
文字にもたましいが宿っている。どれもみんな、大事な一文字なんだ。五十音村の住人は今日も元気に仕事をしています。自信家の「あ」さん、笑いっぱなしの「は」さん、歌の大好きな「う」さん、頼りがいある「た」さんに、資産家の「し」さん、それぞれのキャラクターある文字たちが自慢話を始めていると、いっぱいしゃべらない小さい「つ」の話になり、音のない小さい「つ」は文字ではないとみんなにバカにされました。小さい「つ
「俺が代」は、日本国憲法や、文部省(当時)による教科書『あたらしい憲法のはなし』、そして尾崎行雄、芦田均などの演説をテキストとして用いながら、日本国憲法の本質を浮かび上がらせ、憲法やこの社会についての問いを共有するソロパフォーマンス。これまで愛知県芸術劇場、京都芸術センター、Festival Temps D' Images Cluj などにおいて上演されてきたかもめマシーンの代表作です。憲法という
古典芸能である能の構造を脱構築し、身体と映像のコラボレーションによる現代の舞台芸術作品として甦らせた。コロナ禍によって失われたかに見える世界と、日食の瞬間にだけ地球からも見ることが出来る太陽コロナを重ねて描き、夢と現実の狭間の浜辺で、ありえたかもしれない過去/ありえるかもしれない未来として漂う自らの幽霊と邂逅する少女の姿が描かれる。
芸劇eyes
そこは隅田川の辺り。松尾芭蕉が、弟子を伴ってまさに旅に出立しようとしている。のちに『おくのほそ道』と題されるその旅は、舟の出航の遅れによって未だ始まっていない。舟を待つ芭蕉たちが出会うのは、ロボットの少年や正体不明の女。彼女らと過ごすうちにやがて立ち現れるのは、ある哀しい真実で—。『隅田川』『井筒』という、『伊勢物語』を媒介として接続される二つの謡曲をポリリズム的に併置した現代の会話劇。