(パンフレットより)
自分のなかにある、ある場所に、いくつになっても褪せることなく、18までのあの風景が広がっていて、そこには名前のない自分が、名前のない誰かが立ち尽くしている。
彼らはなにかに押しつぶされそうな表情をしているけれど、それでも限られた時間を、そしてあらかじめ決められたような空間を、全力で走っている。
現在のぼくは、それはなぜなのか、知っている。でもあのころのぼくは、それがなんなのか、なにもわかっていない。
なにもわかっていない彼らは、いつも立ち尽くしている。
森に、夜に、立ち尽くしている。
彼らのあいだには、壁が。
ありとあらゆる壁という壁が。
どうしたって戻りたくない、あのころに、たとえ戻れたのだとしても、ぼくは彼らになんの言葉もかけることができないだろう。
なにもわからずに、ただただ走っている彼らに。
なにが待っているのかもわからずに、ただただ走っている彼らに。
なんの言葉も。
だから描こうと、おもっている。
言葉とかじゃない、なにかを。
描いて、彼らをここで待っていたい。
彼らにとって現在は、未来。
ここで、待っていたい。
藤田貴大
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