現在、演劇界で活躍中の劇作家と個性派俳優とのバトルは予想通りの舞台を誕生させた。
劇作家が仕掛けたストーリー、装置、小道具、そして一人の紡ぎ出す台詞に二重、三重に
隠された複数の声。たった一人の俳優が、これらに対峙し舞台空間を埋めていく作業は、
まさに芝居の醍醐味そのものであった。
今回の企画は、ひとり芝居に挑戦する若き劇作家の登場である。
早稲田大学在学中に「劇団笑うバラ」を主宰し、現在は他劇団の役者を集めて公演を続けている。
現代の息吹を軽やかに伝える作風は、若者の圧倒的な支持を集め観客が増え続けている。
そんな才能にTVの世界が目をつけない訳がない。平成10年9月に「世にも奇妙な物語」でTV脚本家
としてデビュー。この世界でも期待されている。
この新進気鋭の劇作家の挑戦を受けるのが熟年俳優、長塚京三。
映画「パリの中国人」で衝撃的なデビューを果たし映画・TV・舞台で独特の雰囲気を醸し出している。
もちろん舞台俳優としての実績も平成5年度の作品「オレアナ」での読売演劇賞優秀賞受賞で実証済み。
気品、古風、ダンディ、頑固、哀愁、etcこれほどいろんなイメージを想起させてくれる男優も稀である。
長塚京三のどの部分を引き出してくれるのか?長塚圭史の作劇に期待したい。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
演劇・舞踊・音楽など既成のジャンルにとらわれず、観る側と、創る側がお互い夢を持てる舞台を創作し、届けたい。心を伝えられる企画・舞台創造・プロデュースを目指しています。平成6年6月、現代創作劇を創造活動の柱に演劇制作を開始。以降、旬の作家、俳優を起用し毎年2,3本の創作劇を中心にプロデュース公演を企画制作。全国ツアーを展開している。平成9年、次代を背負う若き演劇人発掘のため、オーディション選抜の「新人公演」を制作。また平成12年からは海外公演も積極的に取組み、文化交流を進めている。
日中戦争が泥沼化しつつあり、英米との関係も急速に悪化していた昭和16年春。あるベテラン夫婦漫才師が、中国大陸への慰問の旅に出る。この時の日本では、笑いという戦争とは対極のものを生業とする芸人でさえ戦争の歯車に巻き込まれていた。芸人を続けるには、戦争に協力するしか方法がなかったのだ。夫婦は10歳を過ぎたばかりの一人娘を内地に残して日中戦争の前線近くまで旅を続ける。同行の芸人仲間や、笑いに飢えた前線の
1997年度の演劇界は鐘下辰男の歳であった。「PW PRISONER OF WAR」「温室の前」「仮釈放」「どん底」の演出で、第5回読売演劇大賞の大賞・最優秀演出家賞を受賞。「仮釈放」が同賞で優秀作品賞を受賞。また第三十二回紀伊國屋演劇賞個人賞を文学座に書き下ろした「寒花」他で受賞。演劇集団THE・ガジラを創立して十年、鐘下辰男が描く日本人像の輪郭がようやく見えかけたといったところである。日本人い
ルー大柴の魅力は、日本人離れした破天荒な演技ではなかろうか。そのルーツは、高校卒業後にヨーロッパ、アメリカをヒッチハイクした経験から来ているのであろう。路上で馬の釘を加工して、アクセサリーを売りながらの生活はどんな役者修行よりも貴重な体験だったに違いない。帰国後、役者を志し勝新太郎が主宰する勝アカデミー第一期生として小堺一機らと一緒に勉強をする。その後、アンダーグラウンド劇等を経て、関根勤の「カン
【あらすじ】舞台は南三陸沿いにある古ぼけた理髪店。夜の7時過ぎ、営業を終えた店内で、従業員の佳子が店主の倉田の髭を当たっている。佳子がこの店で働くようになって一月半、倉田にとって彼女の存在が密かな喜びとなりつつあった。佳子と二人きりで過ごすひとときに、胸がいっぱいの様子だが、店の外は濃い霧が立ち込め、何かが起こりそうな予感...。するとそこに、店の扉を開け一人の男が入ってきた。霧が晴れるまで休ませ