自身の体験から老親介護の実態を描き大反響を呼んだ佐江衆一の長編小説「黄落」を劇化し、高齢化社会の問題に正面からとりくむ上演。北林谷栄が脚色・主演し、本作の脚色によって紀伊國屋演劇賞個人賞を受賞した。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇団民藝は1950年4月3日に創立(前身は1947年発足の民衆芸術劇場=第一次民藝)。築地小劇場、新協劇団など「新劇」の本流を歩んできた滝沢修、清水将夫、宇野重吉、北林谷栄らによって「多くの人々の生きてゆく歓びと励ましになるような」民衆に根ざした演劇芸術をつくり出そうと旗あげされました。2000年からは大滝秀治、奈良岡朋子が代表をつとめ、現在は小杉勇二、樫山文枝、日色ともゑ、丹野郁弓を中心に、劇団ならではの層の厚さを生かしたアンサンブルによる密度の濃い舞台づくりをめざしています。
岡本綺堂の世界、1921(大正10)年発表の戯曲を上演。鬼貫役の滝沢修は本作が最後の舞台出演。
原作小説はフランスの文豪エミール・ゾラが19世紀パリで生きる下層階級の人間群像を描いた名作。ソビエトで脚色されたバージョンを北海道をはじめ各地で上演し、東京では追加公演をおこなった。
新劇の名優、奈良岡朋子と仲代達矢が初共演。劇団民藝と無名塾との提携公演です。1948年、米ジョージア州アトランタ。夫を亡くし一人で暮らしていた72歳のデイジーは、ある日、車の運転中に事故を起こしてしまいます。心配した息子ブーリーは黒人の運転手ホークを雇いますが、独立心が強く黒人嫌いのデイジーは頑としてホークの車に乗ろうとしません。しかし二人の間にはいつしか不思議な友情が育まれていくのでした……。
『熊楠の家』は戯曲の達人小幡欣治氏が、南方熊楠の後半生を人間味豊かに描き、第19回菊田一夫演劇賞を受賞しました。『根岸庵律女』、『浅草物語』など小幡氏が劇団民藝に書き下ろした9作品のうちの記念すべき1作目。1995年初演の本作は2017年に丹野郁弓の新演出で上演。熊楠とその家族たちに光をあてた、ユーモアあふれる評伝劇。