—何したっていいだろう、たった七日なんだから—
八月、陽の光に強く照らされた猛暑。彼らは鳴き続ける。この世に生を受け、年月を重ね、やっとの思いで地上に姿を現したのだ。自らの身体の形をした殻を残し、大空を飛び回り、そして必死にしがみつく。休むことなくひたすらに鳴き続ける、大きな声で。
彼らの晴れ舞台。たった七日で何ができるだろう。強く、強く、鳴き続ける。
一宮周平によるパフォーマンスユニット。ひとつのテーマから派生する様々なシーンをオムニバス形式で展開する新感覚な喜劇を特徴とする。各話はテーマを通じて独特な世界観を作り出し、ひとつの物語へと結びつく。日本特有の文化、言葉を多彩に活用すると共に、ミュージカルや音楽、ダンス、落語、絵画などの芸術分野も作品の構成要素として取り入れ、演劇という枠にとらわれない類を見ない表現を追求している。
公演のタイトルである「米」から派生する様々な単語や表現を多角的に分析、変換、分解、結合させ、無関係な場面の数々をオムニバス形式で展開し、それら喜劇的な各話は最後にはキャッチコピーである「実って、すみません。」を表す一つの世界観に収束していく作品である。2015年に発表した”米”を、新たなバージョンへと書き換えて一日限りの上演。
——踏み出せ、その一歩を—— 大きなゾウを眺めていた。小さな憎悪を抱えていた。暑い日も、寒い日も、ちっとも動かず、立ち尽くしている。ずっと想像していた。あいつが一体、何を考えているのかを。