川口隆夫ディレクション企画「舞踏 ある視点」
川口隆夫ディレクション企画「舞踏 ある視点」
パフォーマンス作品《Ice Cream Torch / Ceremony》は、2014年から小林勇輝が継続的に発表しているプロジェクト「Life of Athletics」の最新作で、写真による三部作《Ice Cream Torch / Flag》《Ice Cream Torch / Relay》 《Ice Cream Torch / Flame》 とともに構成される。本作では、地上と地下とを繋ぐ階段を覆い尽くすウェディングドレスと、1981年公開の映画「炎のランナー」の曲を象徴的に用いる。スポーツ競技大会が孕むアマチュアリズムと商業化の矛盾や権威的な枠組みに対してアプローチするとともに、日本の政治家による女性蔑視発言により露呈した性差別に対する問いかけを通して、「平和のためのスポーツ」の真意を考察する。
大野一雄舞踏研究所のアーカイヴ活動を母体に、2012年として任意団体として発足し、2016年に特定非営利活動法人として設立した。大野一雄アーカイヴのノウハウとネットワークを拡張し、日本に横断的なダンスアーカイヴを構築することを目指して活動している。
大野一雄の踊りを生では見たことがないという川口隆夫が、アーカイヴに残された映像記録から大野一雄の踊る形を完全コピーして再構成。2013年初演以降の7年間で世界38都市で上演され、2016年のニューヨーク公演はベッシー賞にノミネートされた。
舞踏アーカイヴプロジェクト
舞踏が舞踏と呼ばれる前、「舞踏ゼロ」の時代から活躍してきた齢80を越えるアーティスト3人の足跡を辿る。能楽師・清水寛二を案内役に、彼らの部屋に招かれているような空間で、本人の語りや映像上映、若手のパフォーマンスで過去を現在と未来へ繋ぐ。及川廣信は3か月後、大野慶人は7か月後にこの世を去った。
尾竹永子ソロプロジェクト「A Body in Places」
2014年から、尾竹永子は歴史家・写真家のウィリアム・ジョンストンとともに福島を訪れ、各地で無観客パフォーマンスと撮影を行なった。本作は、5回の旅で撮影された写真をまとめた約60分のビデオ映像を劇場の壁面に映し出しながら、尾竹がパフォーマンスを行なったプログラムを25分に編集したダイジェスト。彼女の身体を通して、震災後の福島の現在、歴史と環境という大きな問題が私たちの前に立ち現れる。
川口隆夫ディレクション企画「舞踏 ある視点」
内省的なパフォーマンスに多くの支持者をもつ、佐藤ペチカのソロ新作。水槽を抱えて旧博物館動物園駅の階段を降り、地下空間で水と遊戯し、やがて大きな向日葵のオブジェをまとう佐藤ペチカは、幼虫から蝶へと変態して地上へ向かう。地上と地下、生と死、内と外の関係を変容させていく、静かなスリルに満ちた映像作品。