私の部屋には2人の女の幽霊がいる。
私は彼女らを「ハーフさん」と呼んでいる。ハーフさん1号&2号。まぁその方が気持ち怖さ和らぐのと、この世とあの世の境目が、ガバガバのズブズブになっちゃわない様に。私なりのケジメと区別。
ハーフさんたちはここの元入居者で、20年前のアパート火災で亡くなった人達だそうだ。
幽霊(ハーフさん)の内一人は、半ば消えかかっている。人間で言うと認知症の症状に近い。
ハーフさんたちが今日も私のベッドの上に立ち、同じ熱弁を振う。『人間は2回死ぬという。一つは肉体が滅びた時、もう一つは、誰も自分の事を思い出さなくなった時…』だがその日はこうも続けた。『だから、誰の記憶にもこびり付く!後世に残る最強の心霊写真を撮ろう!』
てな訳で、大学の先輩の知り合いである放送作家のお姉さんも巻き込んで、心霊写真作りに励むことになった私達。
私としては部屋から出て行ってもらう為に、ハーフさんたちは自身の存在証明の為に、放送作家はそれを番組に昇華するために、今日も写真を撮っている。
だけど、全然映り込みやしないハーフさんたち。
そして、余計な真実だけが何だか浮かび上がってきやがった…
岩手県盛岡市を拠点に活動する劇団。
元マーブル局主宰ベロ・シモンズを中心に2015年結成。
2017年に盛岡市民演劇賞制作企画部門賞、2023年には観客賞を受賞。
過去には3カ月の滞在制作に於ける初の東京公演を成功させた。
人間や社会の暗部を丁寧に炙り出す骨太な作劇、スタッフワークも駆使した軽快な演出、そして女優陣の怪演が特徴。
SF、スリラー、コメディ、ラブストーリーとジャンルレスな世界観も見どころの一つ。