同級生の寺泊満と山鳥芽衣は、二十数年ぶりの再会を果たす。
寺泊はある手品師との出会いによって、世界の見え方が変わり、仕事でも逸脱を繰り返すようになる。
芽衣は品名に「無」と書かれた荷物を受け取ったことで日常が一変する。
日常生活が困難になっていく寺泊と芽衣は、お互いが理解者であることを知る。
二人はこの混沌の中に希望を見出そうと、街中に広がった無を見つめる_。
2003年旗揚げ。主宰は劇作家・演出家の前川知大。『散歩する侵略者』『関数ドミノ』『聖地X』など、オリジナルのSFやオカルト、ホラー作品で、目に見えないものと人間との関わりや、日常の裏側にある世界からの人間の心理を描く。空間・時間をシームレスに編集する演出を特徴とする。
ある地方都市、金輪町。住宅地の十字路。その一角に住む人々から、不審者がいるとの通報が増えた。不審者達はどこからともなく現れ、消えていく。何をするわけでもなく、時折苦しそうな表情を見せる。目を離すと、いなくなっている。幽霊という噂が立つが、目撃者は皆、確実に存在していたと話す。人の住処につきものの、ありふれた怪奇現象。その片鱗を掴んだことが、大きな間違いだった_。
人魂(ひとだま)となって、極刑を生き延びた政治犯は、小さな箱に入れられて、独房の隅に忘れもののように置かれている。耳を澄ますと、今もときどき小言をつぶやく。物いう小箱に引き寄せられた人々が、崖っぷちを歩いている人間にとっての、生についてを物語る。
経営者である小山田輝の元に、弟の春が帰ってくる。輝は、不安定な春を心配し、在宅の仕事を増やして見守っている。春は怪しげな友人、佐久間を家に招き入れ、何かを計画している。外では野生動物たちが出没し、ペットは脱走する。町の奇妙な変化に春は関わっていることをほのめかす。新しい秘書兼家政夫の山鳥、その紹介でやってきた整体師も不審な動きを見せ、小山田家は徐々に輝のコントロールを離れ、混沌としていく。
夢とうつつを渡り歩く、SFファンタジー。別居中の夫婦。妻はルームシェアをしていた友人が行方不明になり、警察に連絡をする。妻は夫と同じ夢を見ていることに気がつく。そして、夢の中で見知らぬ男達と出会い、異界に迷い込んだことを知る。悪夢のような真相を知り、現実に戻ろうとするが、目覚めることができない。妻は、夢の中で夢をみて、その階層深くに転落していた。(2008年上演)
