山道を走る、ピンク色の車。その車には若い夫婦が乗っていた。ワガママな妻と“いないもの”とされている夫。彼らはヒッチハイクをしていた一人の女を興味本位で車に乗せる。そして意気投合した女と妻は、あたらしい生活を始めるための旅に出るが、二人の旅先には“いないはず”の夫がいた。
小学生の頃、いじめられていた女が見違えるように綺麗になって同窓会の二次会に現れた。しかし、そこには見知らぬ女がおり、自分もクラスメイトだと言って同窓会に参加する。そして彼女は誰も触れたがらない、それぞれの過去について話し始めた。
私たちは、家族だった。結婚式場の控え室。新婦の女はウェディングドレスに身を包み、煙草に火をつける。彼女の視線の先には、初老の男たち二人。夫婦のようにも見える彼らのやり取りを“娘”である女は慣れた様子で眺めていた。“父”の一人である男の走馬灯として語られる、奇妙な家族のありふれた物語。
いい仕事をすれば、出世したり評判が広まったりして、更に大きな仕事を任される。この言葉は、きっと、そんな感じのことを意味しているのだと思います。だったら、フリーターにとっての報酬は・・・?通販のコールセンターを舞台に、出世も昇進も関係無いフリーターの視点を通し、「人は何のために働くのか」を問う、仕事にまつわる群像劇。
ある日、次女が帰ると家中が何者かによって荒らされている。簡単に考えれば空き巣だが、現金など金目のものに手をつけられていないことが、なおのこと何が目的で行われたことなのか、不安を増大させる。
地下世界にようこそ。私たちの暮らしを体験してみませんか?地上の皆様の来訪を心待ちにしています。フィクションで描かれる地下世界が好きです。それは、人々が円満に暮らす理想郷を彷彿とさせるから。一方、現実では否応なく社会と付き合わなくてはいけません。たとえ、どんな関係であっても。今回は、どんなに嘘をついても生々しい演劇を使って、お芝居という共同体を作ってみます。
——踏み出せ、その一歩を—— 大きなゾウを眺めていた。小さな憎悪を抱えていた。暑い日も、寒い日も、ちっとも動かず、立ち尽くしている。ずっと想像していた。あいつが一体、何を考えているのかを。
北海道空知地方、夕張。1980年代初頭。かつて良質な製鉄用コークスを産出し、高度経済成長を支えたこの地方の鉱山も、エネルギー政策の転換や、安い海外炭の普及により閉山に追いやられていた。「石炭から石油へ」「炭鉱から観光へ」国策で推し進められてきたはずの産業は、急激な転換を迫られ、混迷し、国からも企業からも見放され衰退していく。それから約20年後、2000年代、財政破綻後の夕張。再建の道は絶望的とされ