劇場を舞台にした2幕劇です。1幕目は舞台編。台本から削除されてしまった登場人物と、その役を演じるはずだった俳優の物語。公演準備前の劇場の舞台が舞台です。2幕目は客席編。劇の結末に納得できない登場人物と、人生でたった一度だけ見た劇の再演を待ち望む観客の物語。開演前の劇場の客席が舞台です。どちらも、ある日のある劇場での一時間のできごとです。当事者それぞれの、切実な、しかし相容れない事情が交差します。
昭和8年。日本の女子スポーツは発展途上。「女が人前で足を出すとは何事か!」と才能ある選手が出ても世論がその芽を摘む有様。そんな時代、日本初の女子体育高等師範学校が設立される。100m走で日本記録を出した早乙女撫子もその学校に入ることになった。撫子にとって、学校生活は刺激的で発見の連続。女子スポーツを取り巻くあらゆるものを経験しながら、撫子は自分にとってスポーツとは何か問いながら成長して行く。
舞台は小さなふし工場、富田商店。切り盛りするのは富田家の次女喜美子。工場の経営は厳しく加えてコロナ禍が追い打ちをかける。姉のしおりは左腕が不自由だが快活で目立つ。長年姉と比べられてきた喜美子は素直に助けを求められない。コロナによって止まった世の中、不謹慎ながらホッとした喜美子。せっかく止まった工場をしおりはまた動かそうとしている。埋まらない姉妹の溝。そんな折、喜美子は忍び込んだ空き巣と出くわす。
『私』はどこまでが『私』なのだろう。抜けた髪の毛は『私』ではないのだろうか。種は、いつその親樹の一部ではなくなるのだろう。つぎ木をされた樹木は自分を一本の樹だと思って空を目指して伸びていくんだろうか。まっすぐに空を目指す樹。おそらく自分の都合だけでどこまでも伸びていく。だけども彼の都合で出来た木陰は、私を優しく守る。そんなことを考えるうちに私は深いネムリに落ちていた。【私はあなたのすべても、どの一
三日月川に子供が落ちるという事件が頻繁に起こる。その奇妙な事件を取材に都会から記者がやってきた。行き先が分からぬままに乗った船で三日月川を下っていく。川の流れは「時」の流れ。男は不思議な時間を行き来する。流れ流され 辿り着く先は何処なのか。人間どうしが惹かれあう力と全ての物体が引き合う力「万有引力」=「Gravity」を重ね、全曲Micro To Macroオリジナル曲で繋ぐ46億年の奇蹟の物語。
大阪・生野の片隅で、笑顔を忘れたはずの女が笑顔を残した。ある年老いた兄妹達が、長姉の死を目前に集まった古い家。時間が風化を止めた一室で語られるのは思い出話と、迫り来る現実の話。異国を異国のままに生きる者。異国を自国と選ぶ者。静止した部屋に散りばめられた謎。残された『今』の真ん中で、十代の子供達は去りゆく時代をただ見つめている。