2015年度に開館10周年を迎える吉祥寺シアター。また、吉祥寺シアターのこけら落とし公演をきっかけに始まった「ミクニヤナイハラプロジェクト」も同じく 10周年を迎えます。両者の10周年記念公演として。
超高速な発話と激しい動き、デフォルメされたキャラクターが特徴である「ミクニヤナイハラプロジェクト」が、全く逆の「静かな演劇」と評される平田オリザの名作『東京ノート』にどのように挑むのか。
2015 年の半年間をかけて文化庁文化交流士としてアジア各都市を視察して回り、外側から自分たちの暮らす東京を見てきた。この「東京ノート」という物語に、目の前にいまある東京と、遠いどこかの国でみた東京という幻を見る。あえて意味は問わず、身体感覚で捉える。いまある自分の身体と、俳優たちの身体と、そしてそれを見ている観客の身体と、その足元にある東京と、そこに住む人々、日常、喧騒、風景、交わされる無数の言葉たちと、沈黙、孤独、相違、この先にあるいくつかの時間たち、そしていくつかの場所。なにか言葉にならない叫びのような東京を手のひらで握りしめるように。
はたして今、ここからどんな東京が、どんな世界が見えるだろうか。。。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
オンデマンド配信。事前に会員登録が必要です。(月額1,045円)
ダンサー、振付家でもある矢内原美邦が、2005年に「演劇作品」を制作することを目的に立ち上げたソロプロジェクト。圧倒的な情報量と運動量で知られる舞台では、劇画的にデフォルメされたキャラクターが、言葉と体をダンスするかのごとく高速回転させ、ドライブ感に溢れた魅力が生まれる。
2005年吉祥寺シアターこけら落とし公演として第1作目『3年2組』発表、2008年に同作で愛知県芸術劇場演劇フェスティバルへ参加。2010年に第5作目『前向き!タイモン』が京都府立文化芸術会館シェクスピア・コンペにて優秀賞受賞、2012年に第56回岸田國士戯曲賞を受賞。2015年に『シーザーの戦略的な孤独』をタイ・バンコクで現地の俳優とともにリクリエーションし、Bangkok Theatre Festival 2015(バンコク/タイ)に参 加。2016年には、フェスティバル/トーキョー14で上演した『桜の園』で烏鎮演劇祭(中国)に参加し、日本的でありながら前例のない身体表現と演出が評価され、その年の芸術祭評価委員による最高得点を獲得するなど、近年アジアからの熱い注目を浴びている。
すれ違う時間のなかで、彼はどんな記憶を彼女に残したろう。はっきりとそこにいるのに、キミはまるでずっと遠い果てからやってきた光がかろうじて描いただけの幻影のようだ。違う時間、違う場所で生きてきた人たちが時空を超えて出会い、やがて別れる。はじまって、それから、いつかおわる私たちに捧げる「初めての生」と「やり直しの死」の物語。
前向きに生きる。これは簡単なことではありません。前向きに努めながらも、何一つ報われないまま人生が終わることなどよくあることです。だからって後ろ向きはまっぴらごめんです。前のめりになるくらい前向きに人生を歩もうではありませんか? 後ろ向きな人生が、あることをきっかけにパッ!と前を向いたときに生み出される、生きることへのエネルギーを私は信じたいです。これは後ろ向きな男が前向きに人生を見つめなおす作品で
1本の老木をめぐる3つの物語。時代の転換点に浮かび上がる多様な思考。チェーホフの名作『桜の園』をベースに矢内原美邦が独自の視点で描いた1本の老木をめぐる3つの物語。この木を伐るか、否か。そこにはそれぞれの主張があり、賛成があり、反対があり、いくら言葉を費やしても果たしてそこに正解はない。言葉は意味を失い、時間を失い、どこか遠くのほうをさまよいはじめる。もう誰も信じない... 君が「そうだ!」という
なにが正しくて、なにが間違っているのか。誰かの記憶か、いつかの夢か? 記憶が曖昧で、分からない。この光のない小さな部屋の外に、本当に世界はあるのだろうか…。何もかも“記録”することで薄れていく“記憶”や、モビリティが高くなりあらゆる境界線が曖昧になっていく社会、そして自分がいる世界から脱することのできない閉塞感やその中で生きる人間像を、光のない小さな部屋に閉じ込められた3人により描き出す。