男たちの陰謀と嫉妬、渦巻く憎悪に翻弄されながらしたたかに生きる女――。ルネサンス期のイタリアに実在し、かのヴィクトル・ユゴーが描いた稀代の悪女、ルクレツィア・ボルジア。人を殺めることも厭わない鬼女の顔に、生き別れた息子を想う母の情愛が見え隠れし…。オペラでも知られるルクレツィアの物語を、宮城は大胆にも同時期の日本、すなわち戦国時代後期に置き替えました。舞台は駿府城公園、群雄割拠の戦乱を逞しく生きる男たちは時にきらびやかに着飾り、風流踊りに興じます。華やぐ空気の裏で陰謀はめぐり、手に汗握る修羅場が次なる修羅場を呼び、愛憎の底へと燃え堕ちていく…。祝祭音楽が彩る痛快スペクタクル、SPACの野外劇にどうぞご期待ください。
<あらすじ>
とある宮殿のテラス、仮面舞踏会でルクレツィアは手許から離した息子ジェンナロを偶然にも探し当て、母であることを隠したまま、ジェンナロの未だ見ぬ母への想いに耳を傾ける。しかし、ボルジア家に恨みを持つジェンナロの友人達からひどい仕打ちを受け、その場で気を失う――。屈辱を晴らすべくルクレツィアは青年らを自国に呼び寄せ、復讐の夜宴での毒殺を企てていた。ある日、ボルジアの宮殿の紋章を汚すいたずら事件が起き、ルクレツィアは夫アルフォンソに犯人の死を誓約させるが、捕らえられたのはジェンナロだった…。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
オンデマンド配信。事前に会員登録が必要です。(月額1,045円)
専用の劇場や稽古場を拠点として、俳優、舞台技術・制作スタッフが活動を行う日本で初めての公立文化事業集団。舞台芸術作品の創造・上演とともに、優れた舞台芸術の紹介や舞台芸術家の育成を目的とする。2007年に宮城聰が2代目芸術総監督に就任以来、より多彩な舞台芸術作品の創造や国際演劇祭の開催とともに、教育機関としての公共劇場のあり方を重視し、中高生鑑賞事業公演や人材育成、アウトリーチ活動などを展開。
『アンティゴネ』は、2017年、世界最高峰の演劇の祭典「アヴィニョン演劇祭」からの招聘を受け製作された。静岡市・駿府城公園でのプレ公演を経て、客席数約2,000のメイン会場「アヴィニョン法王庁中庭」で演劇祭のオープニング作品として上演。人を善悪に二分しない王女アンティゴネの思想に、「死ねばみな仏」という日本人の死生観を重ねた独創的な演出、舞台全面に水が張られた装置や、高さ30mの法王庁の壁面に俳優
「人生は芝居か?芝居こそが人生か?」ジャン・ルノワールの名作映画に着想を得た、絢爛豪華絵巻!「わからないわ、舞台でも人生でも、懸命に生きているのに。舞台だとうまくいくのに、人生だと愛するものを壊してしまう。どちらに真実があるの?どこまでが舞台で、どこからが人生?」主人公のカミーラはそう呟く。人生は舞台の上か下か。境目もない現実の世界で、求める幸せはどんな形をしているのだろう?山野を揺るがす打楽器の
不朽の名作オペラとして知られる『ばらの騎士』。その舞台が華やかな鹿鳴館時代の日本に置き換わり、宮城聰、寺内亜矢子の初共同演出と、古典から現代音楽まで自在に操る根本卓也の音楽で、軽快な演劇作品に生まれ変わる。俳優たちの生演奏にのせ、貴族たちのドタバタラブコメディが初笑いを誘う!
宮城聰の演出による波乱万丈の一大叙事詩片田舎の村から飛び出してモロッコ、エジプトへ、やがて貿易商として世界中を駆け回る……ノルウェー民話を素材とするこの荒唐無稽な物語が書かれたのは、ちょうど日本が明治維新の頃です。ここから宮城は主人公ペールと明治期の日本を重ねあわせ、『ペール・ギュント』を「日本」という国のアイデンティティの話へと読み替えました。舞台に散りばめられた日本的な意匠の数々――。約150