KERA自作の曲に由来する、
ナンセンスとサスペンスで彩られた、子どもをめぐる親たちの物語
郊外の動物園のそばに建つ一軒家に住むサトウ家の夫婦(峯村リエ・山内圭哉)。その息子・ケンタロウ(みのすけ)はイジメが原因で不登校中だ。彼をめぐり、新任の家庭教師・サクライ(水野美紀)や、動物園の飼育係・ユウチャン(大倉孝二)、ケンタロウの同級生のスズキサチオの両親(犬山イヌコ・山崎一)、自分を神様と名乗る男(廣川三憲)等、大人たちが入れ替わり立ち替わり訪れる。だがこの家を訪れる人々はなぜか次々と失踪していく…。
日常会話の中に見え隠れする食い違い、ズレ、ゆがみが表面化していくにつれて浮き彫りにされるのは、歪んだ人間関係ーー。サトウ家に隠されていた過去とは?やがて見えてくる意外な事実。シリアスな人間ドラマの中、KERA独特のセンスが奇妙なおかしさを漂わせる、現代の家族を描いた意欲作。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
ナイロン100℃の前身となる「劇団健康」は、1985年、当時のインディーズバンドブームの中心的存在にあったバンド「有頂天」のボーカルを務めていたKERAを中心に、犬山犬子(現・犬山イヌコ)、田口トモロヲ、みのすけらによって旗揚げされた。ナンセンス・コメディを中心とした本公演14作品と数々の番外公演を上演し、高い評価と人気を得るも、1992年に解散。翌1993年、再びKERAを主宰として、犬山、みのすけ、峯村リエ、三宅弘城、今江冬子、藤田秀世、手塚とおるらで、ナイロン100℃を立ち上げ、1st SESSIONとして『インタラクティブテクノ活劇 予定外』を発表。
公演をSESSIONと称することに表れているとおり、劇団員に加えて客演やクリエイティブ・スタッフとともに、ナイロン100℃にしかできない表現を生んでいる。
これまでナンセンスな笑いを交えた作品をはじめ、シチュエーション・コメディ、ミステリー・コメディなどを上演してきたが、近年は岸田國士、フランツ・カフカ、別役実などをオマージュした作品や、壮大な群像劇など、多彩な舞台を発表している。
2019年、第45回公演『百年の秘密』(再演・2018年上演)にて、第26回読売演劇大賞 最優秀作品賞を受賞。
ナイロン、21世紀第一作、21回目の本公演は、21人の女性が繰り広げるシニカルな西部劇。シリアス・コメディの金字塔。とある西部の町に、流れ者・早撃ちエルザ(犬山イヌコ)がやってきた。彼女は自分の母親の敵を討つために、その町に住むというアイアンビリーを探しにきたのだ。早速、酒場に寄ると、前日にビリーが暴れて割った皿を片付けている女たちの姿があった。エルザはそこでビリーを待つことにするが、一向に現れな
ナイロン100℃ SIDE SESSION SPECIAL
ドイツの放送作家、ギュンター・アイヒによって1950年代に書かれたオムニバス放送劇『夢』。その中から舞台用にアレンジ可能と見なした3編を選び、オリジナルで書き下ろした3編を加えて上演。何十年も止まらない列車に閉じ込められて暮らしている家族の話『列車』、ある三流小説家が死の世界を経験する『死』など、6話6様の悪夢が繰り広げられる。「ナイロン100℃」史上初めての、笑いが一切ない作品。
「あの木は誰よりも知ってるのよ。ベイカー家の秘密を」。二人の女性の友情を軸に、慈悲なき世界で秘密に翻弄される人々を巧みにコラージュ。人生を超えた視点から生の営みを俯瞰する、ケラリーノ・サンドロヴィッチ会心の年代記、再び!ずっとずっと昔の良き時代。狼に襲われた少年を救い上げた伝説を持つ楡の木を、取り囲むように建てられたベイカー家の館。ここに住むのは楡の木に助けられた少年の息子で、今は銀行家のウィリア
ナイロン100℃初期の代表作となった作品。南の孤島、浜辺に建つ一軒家。そこに集まる女達。平穏な夏を過ごすはずだった彼女たちを襲う数奇な運命。16年間に渡る、憎しみと許し、拒絶と理解、偶然と必然の物語。ケラリーノ・サンドロヴィッチとナイロン100℃が紡ぎだす、サスペンス・コメディの頂点。女性4人だけの出演者による濃密な作品は劇作家としての実力を広く知らしめ、この戯曲により岸田國士戯曲賞を受賞した。