12年前(1992年)に第14回公演を最後に解散した劇団健康が、一度限りの復活公演、と題し、当時の劇団員が集結しナンセンスを極めた作品を上演した。健康を解散後、主宰のKERAはナイロン100℃を旗揚げし、健康時代とは異なる様々な作風の演劇を上演しているが、本作ではナンセンス・コメディをひたすら追求したものとなっている。小津安二郎の「東京物語」をナンセンスに振り切った物語を縦軸に、支離滅裂な世界がそ
カフカ的緊張感と平衡感覚によって繰り広げられる、ケラリーノ・ナンセンスの金字塔。フリーライター・高野正五郎(藤田秀世)宅に1本の間違い電話が入った。それ以来、妻・マチルダ(峯村リエ)は「うちはソバ屋じゃないです」と言いながら、せっせと出前に勤しむようになる。高野は反対しながらも出前持ちやそば職人を雇い、自らの行動さえも矛盾してゆく。同じ頃、小説の仕事が舞い込んできた高野は張り切って構想を練るが、
KERA自作の曲に由来する、ナンセンスとサスペンスで彩られた、子どもをめぐる親たちの物語郊外の動物園のそばに建つ一軒家に住むサトウ家の夫婦(峯村リエ・山内圭哉)。その息子・ケンタロウ(みのすけ)はイジメが原因で不登校中だ。彼をめぐり、新任の家庭教師・サクライ(水野美紀)や、動物園の飼育係・ユウチャン(大倉孝二)、ケンタロウの同級生のスズキサチオの両親(犬山イヌコ・山崎一)、自分を神様と名乗る男(廣
何の罪かわからないまま逮捕された男ヨーゼフ・K(「審判」より)、吹雪の中どんなに歩いても城に辿り着く事ができない測量士K(「城」より)、親に捨てられ、権力者の伯父に引き取られたものの、その伯父に逆らったことで勘当された少年カール・ロスマン(「失踪者」より)。カフカの作品に登場する人物達によるオムニバス形式に場面は次々にかわり、短いエピソードが続く。役者の経験からでてきたエピソードや人物と、それに加
衝撃的な内容と大胆な演出でこの年の話題をよんだKERA&ナイロン初の艶笑劇。妻とのセックスの最中に火事を出し、家と末娘を失った中年サラリーマン、ウツキ。妻一筋のまじめな彼だったが、コンビニで働く18歳の少女フミに魅かれ、不倫に走る。フミの父親は白痴の美少女マリィを誘拐し、マンションに監禁していた。ラブホテルに連れ込んだ女性から金を盗る若者、警察の職を悪用して女性にSM関係を強要する警官、そして彼ら
「無いみたいなんですよ、手も足も、顔も胴体も……」確かなものはなにもない。別役実×ルイス・ブニュエルを意識した果てなく更新され続ける言葉と世界。ケラリーノ・サンドロヴィッチが放つ不条理演劇の最新形!賛成派と反対派のシュプレヒコールが遠くに聞こえる中、物語は始まる。とある洋館に暮らす金持ちの一家。その中では父親(三宅弘城)と母親(犬山イヌコ)、そして息子(遠藤雄弥)と娘(峯村リエ)が、今日も退屈な会
昔は裕福だったが今は没落している廻一家がある日、ボロアパートに引っ越してくる。その日は長女・想子(新谷真弓)が日航機墜落事故で亡くなった命日。墓参りだけはしようと、アル中の母親・澄代(峯村リエ)は家族を促すが、ぐうたらな父親・時雄(佐藤誓)も、長男・時次(大倉孝二)も次女・春江(長田奈麻)も無反応。そんな絵に描いたような崩壊家族をなぜか大家夫婦(原金太郎・池谷のぶえ)はアパートから追い出そうとして
2010年、執筆活動25周年を迎えたKERAが劇団に書き下ろした新作は、差別意識や偏見の問題を俯瞰しながらも、いつの間にか、もっとずっと遠くに立っている、そんな物語。その朝、廃墟と化したその街に辿り着いた五人の男女(三宅弘樹・峯村リエ・小出恵介・緒川たまき・マギー)。何が起こったのかはわからない。大地震なのか、それとも戦争なのか──。救助隊を自認する彼らが暮らしてきた街も同様の状況らしいが、「この
岸田戯曲のとてつもない面白さと奥深さに打ちのめされたKERAが贈る「岸田國士一幕劇コレクション」第二弾。円形劇場を縦横無尽に駆け巡るパノラミックな和装劇!実直なパン屋一家(志賀廣太郎、長田奈麻、新谷真弓、森田甘露)を予期せぬ出来事が次々と襲い、茶の間がいきなり怒涛のSF的展開へ突入する表題作『麵麭屋文六の思案』と続編『遂に「知らん」文六』。無邪気な子どもたちの歌声が響く学園で、大人たちの愛憎劇が繰
「あの木は誰よりも知ってるのよ。ベイカー家の秘密を」。二人の女性の友情を軸に、慈悲なき世界で秘密に翻弄される人々を巧みにコラージュ。人生を超えた視点から生の営みを俯瞰する、ケラリーノ・サンドロヴィッチ会心の年代記、再び!ずっとずっと昔の良き時代。狼に襲われた少年を救い上げた伝説を持つ楡の木を、取り囲むように建てられたベイカー家の館。ここに住むのは楡の木に助けられた少年の息子で、今は銀行家のウィリア
ケラが作・演出および作詞作曲を手がけた初のミュージカル。2003年の東京から1968年へタイム・スリップしたユースケがGSを歌う、といった絢爛豪華な内容。鈴木慶一が音楽監督を担当。