主婦2 私が言ったのと取りかえる……? ロープでしめ殺したのと……。
主婦3 あら、あなた、朝のコーヒーに農薬を入れたんじゃなかった……?
主婦2 やめたのよ、それは……。
(主婦1に)言ったじゃない、あれだと体験感が残らないって……。
主婦1 そうだった……?
主婦2 ロープの場合はね、敵の首にまいて、グッと引っぱった時に、この手の中に、
ギュッて手応えが残るわ……。後になってその時のことを思い出したい時も、
座布団にロープをまいて引っぱれば、ああ、こんな風だったわって……。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇団創立から85年を超える老舗劇団。日本の創作劇、和物、海外戯曲と幅広く上演。
ある二組の夫婦が公衆電話の前で出会う。そこにアメリカ大統領を誘拐した犯人から身代金を要求する電話がかかってくる。
文学座創立55周年記念
昭和のはじめ、東京下町、袋物製造販売業「近常」の細工場。職人たちが電燈の下、とりとめない会話をかわしながら夜なべをしている。奥では年季明けの職人を祝う赤飯が炊かれ、肴や白味噌の椀の仕度がされている。十年の年季奉公のあと、この日一人前の印電師(高級ななめし皮を扱う職人)の門出を迎える秀太郎。職場を変える夫に従い、今夜未知の北海道に旅立つ女中のおせん。それぞれの「かどで」
生涯に93回引っ越したという北斎が僅かな家具道具を載せた大八車を曳き、娘のおえいが押している場面から始まる。絵を描く事にしか興味がない葛飾北斎、絵師としてまるでうだつの上がらない歌川国芳、武士でありながらいずれは絵の道に専念したいと願う渡辺崋山。彼らは今日も北斎の家に集い、議論を戦わせていた。そこには北斎の弟子で、腕はいいのに師匠の世話ばかりしている蹄斎北馬、父北斎に振り回されながら、やがては自分
吉原の三味線芸者お園は、文久三年、攘夷論と開港論の渦巻く横浜の遊郭岩亀楼に流れ着いた。そこには、同じ吉原で花魁だった亀游が病に臥せっていた。岩亀楼の通訳藤吉とお園の愛情溢れる看病で病の癒えた亀游は久し振りに店に出た。その座敷にはアメリカの商人イルウスの通訳として、想い人の藤吉がいた。亀游は悲運なこの出会いに失神し、藤吉は狼狽する。イルウスが亀游の美しさに感嘆し、身請けすると言い出すと、岩亀楼の主