結婚してから毎日、昨晩食べた料理をネットにアップし続けている、ある夫婦の晩御飯の記録『ラストナイトレシピ』。結婚2年。仲の良かった夫婦だったが、妻が亡き人となった。妻の両親は残された夫に対し、娘の死を「申し訳ない」と言い、やたらと明るく振舞いながら今まで以上に夫に関わりをもとうとする。夫にはそれが疎ましい。しかし、大事な妻を生んでくれた親である。生前、妻が日々更新していた「ラストナイトレシピ」というブログに、彼女の作った料理のレシピの記録がある。それは、結婚してから毎日更新されていた、いわば、夫婦の食事の思い出である。夫は、そのレシピを見ながら、妻の作った料理を毎日再現した。最後に更新されたメニューを作ったら、何らかの答えを出すために、夫は料理を作り続ける。本作は、家族という最小コミュニティーを一枠広げた「姻族関係」を取り上げる。家族の一人の喪失が、姻族関係にどのような影響をもたらし、対話の力が、彼らの関係に如何に寄与するかを見つめる。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
オンデマンド配信。事前に会員登録が必要です。(月額1,045円)
iakuは、劇作家の横山拓也が大阪で立ち上げた演劇ユニット。横山は、小気味いい関西弁口語の作品を多く発表しており、登場人物たちの対話、議論、口喧嘩を通して、人が抱える普遍的な問題、それをめぐるドラマをユーモラスに浮かび上がらせる作劇で評価されている。
岸田國士初期の名作「葉桜」をモチーフに、横山拓也が現代的な視点から母娘を描く「あたしら葉桜」を、二本同時上演。口語劇のパイオニアといえる岸田戯曲とiaku の関西弁口語を並べることで、その影響や系譜を確認し、エンタテインメントに昇華する。演出は、iaku で長く横山とコンビを組んできた上田一軒。キャストには第20 回(2017 年度)関西現代演劇俳優賞・女優賞の林英世と同・奨励賞の松原由希子の関西
築野家。中年の兄弟が母の病室に訪れると、金沢さんという知らない初老の紳士がいた。母と親しい仲らしい。膵臓ガンを告知された母は、金沢さんと相談の結果、尊厳死を選びたいと言った。一方、田熊家。子供は作らないと約束して結婚した若い夫婦に、妊娠の予兆が。生活や仕事のことを考えると、産むことは選べない。選びたくない。時間は刻々と進む。死にゆく命と芽生えた命を目の前にした、2組の家族の議論を見つめる。
小説家を志して、芸大に進学した千夏と、縫製工場で働く母・昭子。決して裕福ではないが、笑いの絶えない母娘の二人暮らし。その裏には、小さなわだかまりが横たわっているが、そこに触れないことが暗黙の了解となっている。あるとき、昭子の会社に中途採用でやってきた木村からの提案で、サーカスを観に行く約束が交わされた。ひょんなことから、千夏の幼馴染で、密かに思いを寄せる光輝と、昭子の同僚で、千夏が憧れる女性、透子