てがみ座 第十六回公演。
北斎の異才を受け継ぎ、のちに『夜桜美人図』『吉原格子先之図』を描き出すお栄(応為)、その青春期の物語。
【あらすじ】
江戸後期、黒船が泰平の眠りを覚ます少し前。お栄は鬼才の絵師・葛飾北斎を父に持ち、物心つく前から絵筆を握ってきた。幼い頃から北斎工房の一員として、男の弟子たちにも引けを取らずに、代作もこなし枕絵も描いてきた。けれど本物の絵師になりたいと肝を据えたとき痛感する。北斎の影から逃れ、自らの絵を掴むには、女である自分を受け入れ、見つめなくてはならないと。折しも出島からシーボルト一行がやってきて北斎工房に大量の絵を発注する。百枚の肉筆画を西洋の画法で描くようにと。絵師たちに新たな風が吹きつける。お栄は、自らの光と闇を見出そうと挑んでいく……。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇作家 長田 育恵(日本劇作家協会所属・井上ひさし氏に師事)を主宰として2009年に旗揚げ。戯曲を根本にして立ち上げる演劇を基軸とし、上演作品に応じて、演出家・出演者・スタッフを集い、多彩な才能とコラボレートするスタイルをとる。戯曲は、確かな構成力と心の揺れ動きを丁寧に紡ぎだす台詞、世界観を描き切る筆致に定評がある。
■てがみ座「地を渡る舟」(2015年)
第70回 文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞(長田育恵)
■てがみ座「海越えの花たち」(2018年)
第53回 紀伊国屋演劇賞個人賞(長田育恵)