吉野の里に住む盲目の夫は、川上の地蔵に参籠した甲斐があって目が開くが、地蔵のお告げには「連れ添う妻は悪縁ゆえに離別せよ」という条件があった…。人間と運命の対峙を鮮やかに描く、狂言の異色の名作。四十分弱の作品ながら、長編の演劇に匹敵するほどの緊密間に満ちたドラマ性があり、かつて日本の戯曲ベスト3に挙げられたこともある。
狂言界の至宝・野村万作の叙情に満ちた演技が堪能できる。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
世田谷パブリックシアターは、現代演劇と舞踊を中心とする専門的な作品創造・上演活動と、市民の自由な創作や参加体験活動を通し、新しい舞台芸術の可能性を探る劇場です。東京・三軒茶屋駅前のランドマーク、キャロットタワーの中にあり、主劇場・世田谷パブリックシアターと小劇場・シアタートラムの2つの劇場のほか、稽古場や作業場、音響スタジオなど「舞台作品創造」のためのさまざまなスペースが用意されています。
世田谷区下馬地区にお住まいの方たちの生活を支える仕事をされている/いた方に、「支援すること、支えること」をテーマにインタビューから創作するシリーズ。3作目となる本作は、知的障害の方の支援をされてきた長見亮太さんのお話です。下馬地区の住民に向けたお祭りで初演しました、シアタートラムでの上演に合わせて創作しなおしたのが本作品です。仕事を始めた経緯、支援しながら考えてきたこと、家族のこと。人が人を支える
英国の劇団コンプリシテの芸術監督・演出家・俳優であるサイモン・マクバーニーの脚色・演出作品。日本人俳優と98年から6年間にわたってロンドンと東京で行ったワークショップを基に作品化した。最終的に、村上春樹短編集(「象の消滅」英語版)所収の「象の消滅」「パン屋再襲撃」「眠り」の3つの短編小説を触媒に、舞台上での同時収録の映像を駆使した新しい感覚の作品となている。2004年の再演の際は、東京、ロンドン、
物語の舞台は絶海の孤島。飲むと永遠の命を得ることができるという“不老長寿の泉”を巡り、その泉の守り役の鷹姫、何十年もの間、泉から湧く水を待ち続ける老人、そして、新たに水を求めに来た若き王子・空賦麟(くうふりん)、それぞれの水を求める苦悩を嘆き謡う…。今から100年以上も前、ノーベル文学賞を受賞したアイルランドの詩人ウィリアム・バトラー・イェイツは能の世界に影響を受け、劇作品『鷹の井戸』を執筆しまし
おりんの村には、70歳になると供の者に背負われて深い山奥の「楢山さん」へ行き、二度と戻らない「楢山まいり」の風習があった。当年69歳のおりんは、一日も早く楢山まいりに行こうとするのだが、孝行息子の辰平は複雑な心境である。一方、辰平の息子けさ吉は、自分の子供が生まれるのが近いこともあり、おりんに早く楢山まいりに行った方がいいという。村には70歳になってもなかなか楢山へ行こうとしない又やんのような者も
