(パンフレットより)
三年前にこの作品は一度、
故郷の北海道伊達市で、終わりを迎えたはずだった。
だけれどまたこうして取り組んでいるのは、この三年間で家という生命体そのものが、
現在という時間のなかでどう在ればよいのか、という問題が自分のなかで、
まるで変わってしまって、膨らみつづけていたからだろう。
現在という時間は想像できているだろうか。
あのころの食卓のこと。ひとりひとりの表情を。
家という生命体の内臓は、そこに住む家族だけではなくて、
そこにいたはずのひと、そこを通りすぎただけのひと、
そこに関わったすべてのひとたちの記憶だし、
そこで過ごした日々のことを思い出す、
その記憶器官における繰り返しも含まれている。
現在だからこそ、繰り返し思い出して、
扱わなくてはいけない気がしたのは、なんでだろう。
どうやらすぐそこまできてしまっていることがあるとして、
それによるこの不安は、なんなのだろう。
こんなにも繰り返し、思い出されることがあるのに、やがて老いて、
忘れてしまうかもしれない、あの家のことを想った。
ここに立ち帰って、また始めたいと想った。
2017.6.29 藤田貴大
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
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公益財団法人埼玉県芸術文化振興財団は、芸術文化の一層の振興を図り、真に豊かさとゆとりを実感できる県民生活の実現を目指すため、
・演劇、舞踊、音楽を中心とした舞台芸術作品の創造・発信
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彩の国さいたま芸術劇場、埼玉会館を、指定管理者として管理運営しており、芸術性の高い作品を創造・発信しております。
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(パンフレットより)一月に書いた文章を眺めている。あれから、なにを経て。どんな音を聞いて、どんな光景を目に映して。どんな時間を過ごしてここまで巡り、辿りついただろう。想像もしていなかったようなことは、やはり起こる。それに伴って、線なんか引かれていなかったところに線は引かれていく。内側と外側があるのだと知る。部屋のなかで窓より外の世界を想像するのがこんなにも不安なことだった、だなんて。しかし、やはり
(パンフレットより)生まれてきた奇跡のさきへつづく旅路。それは森であり、夜である。ただ歩いていくのは困難で、立ちはだかるものをまえに立ちつくす。見たくないもの、聞きたくないものに触れてしまう瞬間が、やがて誰しもに訪れる。ときに、どうしてこんな世界に生まれてきてしまったのだろう、とおもうかもしれない。けれども、生まれてこなければ出会えなかった。たまには立ちどまって、来た道をふりかえってくれていい。思
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