青年座・セレクションvol.5
青年座・セレクションvol.5
ノッポが突然姿を消した。かなりの年月が経ち、友人の元にその男から戯曲が届いた。戯曲はイエス・キリストが十字架にかけられた頃のエルサレムが舞台。神をののしる男、神を信仰する女、神の身代わりだと言う盗賊の姉弟、神に憧れる奴隷、神のことを知らない娼婦が登場する。ノッポが生きた現実世界と戯曲の世界が交差する。信じることそして人を愛することは何か…
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇団俳優座に在籍していた10名の若手俳優たちが日本の現実を反映させた創作劇の上演を強く願い、1954年劇団青年座を創立しました。現在劇団員と研究生をあわせ約200名が所属。創作劇の他、海外現代戯曲、過去の秀作等、幅広いレパートリーを有しますが、創立からの基本理念は変わることはありません。今後も日本の創作劇上演を柱にした公演活動を続けることによって、日本演劇の民主的発展に寄与し、舞台芸術を通して日本文化の向上をはかることを目的として活動します。
赤穂の家臣不破数右衛門は、薩摩源五兵衛と名を変え、義士の仲間に加わろうと金百両を工面していた。が、芸者小万の妖しさに惹かれ、夜毎逢瀬を重ねていた。だが、実は小万には夫三五郎があり、晴れて夫婦になるには三五郎の父に金百両を渡さねばならなかった。二人は大芝居を打って源五兵衛から金を騙し取り、夫婦であることを告げる。武士を捨て、小万との愛に生きようとしていた源五兵衛の絶望と怒り。しかしそこには驚くべき真
青年座・セレクションvol.3
明治三十年代の大ヒット小説、徳富蘆花作『不如帰』。劇団新派によって舞台化され、瞬く間に大盛況となった。まるで昼ドラのような愛憎劇は涙を流さずにはいられない。話題は話題を呼び、ついにモデルと言われる片岡中将一家の耳にも入ってきた。怖いもの見たさも手伝って、一家で観劇する事に。舞台と片岡家の現実が混ざり合い、奇妙に一致していく。日本全国の女性が涙した悲恋物語に隠された真実とは…。モデルとなった人々の想
劇団青年座創立四拾五周年記念公演No.3
笛の音の様に鋭くなまめかしい風が吹く大菩薩峠頂上。一休みする老巡礼を一刀のもとに切り捨てた机龍之助は、武州御岳山ふもと沢井村の「甲源一刀流沢井道場」の跡取りであった。折しも4年に一度の御岳山奉納試合に龍之介と立合うことになった宇津木文之丞の妻お浜は、夫に勝ちを譲るよう懇願するが、もとより応ずるはずもなく龍之助はお浜を犯す。この事実を知る文之丞。遺恨試合となった結果、故郷を追われる龍之助とお浜は江戸
『明日』は1945年8月8日の長崎市のある家族の一日を描いている。戦争は緊迫の度を増す。そんな中でも無辜の民は生きる。青春の息吹き、結婚、そして子の誕生と、この一家の営みはたんたんと続いていく。8月9日未明、嫁ぎ先の長女は苦しみのあと長男を生む。あふれる喜びにつつまれる。が数時間後、午前11時2分、原爆が投下される。私達はその子の運命を知らない。