夜逃げした誰かのアパート、その捨てられた箪笥の中からびっくり仰天街ヘ迷い込む!
先行き不透明な中、我々はどこに向かっているのだろうか。
気が付けばそこは、入り口も出口もわからぬびっくり仰天街。
逃げ出すつもりが近付いたり、堂々巡りの現代と私たちを遊んだ作品。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1980年10月、大阪芸術大学(舞台芸術学科)の有志により結成。『蛇姫様』(作・唐十郎)で旗揚げ公演後、第2回公演以降は、座長・内藤裕敬のオリジナル作品を上演している。
今も昔も、演劇だけが生み出せる劇的瞬間を探り追いかけている。
杮落し特別公演
そこは、廃業した病院か…?15人の老若男女が一室にいる。どうやら昨夜、終電が行った後、そこへ集まってしまったらしい。世代間の対立と時代のストレスが、やがて、それぞれの今と背景を浮かび上がらせる。未来に希望を持てないことを、うすうす感じながらの現代を、私達は、どう生きて行くのだろう…。15人の登場人物達が、密室で、これまでと今を旅するが、その先に見える「人の消えた街」は、どう再生に向かうのか。
「リアリズムにおけるインチキの仕方」確立への足掛かりとなった初期代表作品。南河内万歳一座の演劇システムマイトガイ・アキラはテンガロハットをかぶり、ギターをしょって馬に乗り、やたら拳銃をぶっ飛ばす無国籍な小林旭ヨロシク男。そんなアキラはふと自己嫌悪に陥り、自分の故郷を探し出そうとする。望郷の念と家出願望というふたつの相反する想いの相克を綴っていく。
陸の孤島と化し、立ち退きを迫られた病院を舞台に、わざわざ通院してくる老人や幽体離脱できる入院患者など、病院に集う人々の人間模様を描きながら、神の存在の有無にも踏み込む。
奥にはがらくたの山、傾いた柱、ふすまの横に喫茶店のカウンターがあり、はたまた床の間のある畳敷きさえも。ここはあるときは、帰らぬ父を待つ少年の暮らす海の家。またあるときは、喫茶店とアパートと民家がひしゃげた形で合体してしまった共同生活場。というのも、物語の背景には阪神淡路大震災の影が落ちているらしく、崩れて寄りかかりあった建物がここなのだ。居場所をなくし、生きるすべをなくした不在の父を求める群像劇。
