生体情報をもとに、人間の行動が管理されている社会を描いた、近未来SF。そこでは、危険に直面することで、生の強度を上げ、死ぬまでの時間が切り売りされていた。
2003年旗揚げ。主宰は劇作家・演出家の前川知大。『散歩する侵略者』『関数ドミノ』『聖地X』など、オリジナルのSFやオカルト、ホラー作品で、目に見えないものと人間との関わりや、日常の裏側にある世界からの人間の心理を描く。空間・時間をシームレスに編集する演出を特徴とする。
日本海に面した小さな港町、金輪町。加瀬真治は三日間の行方不明の後、別人格となって発見された。医師の診断は脳の障害。不仲だった夫の変化に戸惑う妻の鳴海を置いて、真治は毎日散歩に出かける。同じ時期、田舎町に似合わない凄惨な事件が起きる。老婆が家族を惨殺し自殺するという事件で、一人生き残った孫娘も神経衰弱状態だという。その後、町に奇病が流行り出す。ある特定の概念を失い、それについて理解できなくなるという
夢とうつつを渡り歩く、SFファンタジー。別居中の夫婦。妻はルームシェアをしていた友人が行方不明になり、警察に連絡をする。妻は夫と同じ夢を見ていることに気がつく。そして、夢の中で見知らぬ男達と出会い、異界に迷い込んだことを知る。悪夢のような真相を知り、現実に戻ろうとするが、目覚めることができない。妻は、夢の中で夢をみて、その階層深くに転落していた。(2008年上演)
四国の田舎で隕石を拾った天文マニアの男たちの物語。その隕石は見た者の思考を奪い、時間を止めてしまう。誰かの手を借りない限り目をそらすことはできず、一人で見たら最後、餓死するまで見続けることになる。もう一つの特徴は、見た者に恐ろしいほどの幸福感を与え、見た時間の記憶は無く、ただ幸福感だけが残される。天文マニアと隕石の出会いから、100年後の行く末までを、日常がズレで大状況になっていく「イキウメ・スタ
妻は夫に嫌気がさし、地方都市にある実家に戻って一ヶ月が経つ。離婚しか考えてなかったが、夫が一向に会いにこないことに腹を立てていた。ある日、妻は町で夫の後ろ姿を見かけ、後を追う。そこで再会したのは、荷物も携帯も持たず、自分の住所さえも知らない夫だった。夫は自分の足取りを調べる内に、東京にも自分自身が存在していることを知る。妻の兄は、このドッペルゲンガー事件を調べ始めると、この町には過去に同じような事