四国の田舎で隕石を拾った天文マニアの男たちの物語。その隕石は見た者の思考を奪い、時間を止めてしまう。誰かの手を借りない限り目をそらすことはできず、一人で見たら最後、餓死するまで見続けることになる。もう一つの特徴は、見た者に恐ろしいほどの幸福感を与え、見た時間の記憶は無く、ただ幸福感だけが残される。天文マニアと隕石の出会いから、100年後の行く末までを、日常がズレで大状況になっていく「イキウメ・スタイル」で描いたパニックSF。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
2003年旗揚げ。主宰は劇作家・演出家の前川知大。『散歩する侵略者』『関数ドミノ』『聖地X』など、オリジナルのSFやオカルト、ホラー作品で、目に見えないものと人間との関わりや、日常の裏側にある世界からの人間の心理を描く。空間・時間をシームレスに編集する演出を特徴とする。
妻は夫に嫌気がさし、地方都市にある実家に戻って一ヶ月が経つ。離婚しか考えてなかったが、夫が一向に会いにこないことに腹を立てていた。ある日、妻は町で夫の後ろ姿を見かけ、後を追う。そこで再会したのは、荷物も携帯も持たず、自分の住所さえも知らない夫だった。夫は自分の足取りを調べる内に、東京にも自分自身が存在していることを知る。妻の兄は、このドッペルゲンガー事件を調べ始めると、この町には過去に同じような事
誰かの何気ない一言で湧き上がってきた感情。突然、心の中に火花のように現れては消えていく衝動。見知らぬ人の芳香や懐かしい音楽が、否応なしに引きずり出す思い出。それらはふとしたきっかけで襲ってくる。意思とは無関係に。無視することはできても、無かったことにはできない。私達の日常は平穏に見えて、心の中は様々なものに襲われている。感情、衝動、思い出。襲ってくるもの。イキウメの短編シリーズ、第四巻は、意識の中
ジャーナリストの寺泊は、菜食の人気料理家、橋本和夫に取材を申し込む。戦前に食餌療法を提唱していた長谷川卯太郎という医師を調べていた寺泊は、長谷川と橋本の容姿がよく似ていたことに興味を持ち、ある仮説を立てて取材に望んだ。プロフィールに謎の多い橋本は長谷川卯太郎の孫で、菜食のルーツはそこにあると考えていた。橋本はそれを聞いて否定した。実は橋本は偽名で、自分は長谷川卯太郎本人だと言う。本当なら122歳に
ある地方都市、金輪町。住宅地の十字路。その一角に住む人々から、不審者がいるとの通報が増えた。不審者達はどこからともなく現れ、消えていく。何をするわけでもなく、時折苦しそうな表情を見せる。目を離すと、いなくなっている。幽霊という噂が立つが、目撃者は皆、確実に存在していたと話す。人の住処につきものの、ありふれた怪奇現象。その片鱗を掴んだことが、大きな間違いだった_。