「現代能楽集」連作
「現代能楽集」連作
旧東独の劇作家ハイナー・ミュラーの『ハムレットマシーン』では、東欧の現実が、冷え冷えとして空無化した世界が描かれているのだが、しかし同時に、そこには空無化、冷えの果ての「熱」のようなもの、非業の死者たちの声、視線があり、それは深部で夢幻能の記憶の層、身体性と繋がっている。そのため上演は、能、現代演劇、ドイツ語朗唱の共同作業として取り組まれ、その試みを通してアクチュアルで、根源的な言語、身体の相が探られた。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1971年、岡本章を主宰者として早大劇団「自由舞台」のメンバーを中心に結成される。創立時から現代演劇の枠に狭くとらわれることなく、伝統と前衛を切り結ぶ活動を展開。特に〈言葉〉と〈身体〉の関係を根底から問い直し、新たな〈声〉や〈身体性〉の可能性を模索する試み、また、様々なジャンルの現代芸術の表現者たちとの共同作業、そして能を現代に開き、活かす「現代能楽集」の連作など、実験的、根源的な活動を持続して行っている。1998年、イタリア、サンタルカンジェロ演劇祭、2000年に韓国、華城国際演劇祭、2012年ルーマニア・シビウ国際演劇祭、モルドバ・BITEI国際演劇祭に招聘参加。2002年、早稲田大学演劇博物館主催で企画展『伝統と前衛――錬肉工房と岡本章の30年』が開催される。
日本の現代演劇ポスターデジタル化プロジェクト2023
150点の現代演劇公演のポスターをアーカイブ。公演のキービジュアルがデジタル展開され難い、1960年代から80年代を中心に、紙で現存するポスターをデジタル化。ポスターのセレクションは、1960年代以降の舞台芸術系のポスターを収集・保存、これまでも研究や数々の展覧会に協力する等、演劇公演のポスターに造詣が深い、ポスターハリス・カンパニー社代表の笹目浩之氏が担当。
錬肉工房結成十周年記念、また新アトリエ杮落し公演として上演。即興性の課題を前面に出し、自在でラディカルな身体の、演技のあり方が探られた。そうした試みの中で、冒頭の場面で、那珂太郎の詩作品の言葉と格闘していた演技者によって初めて、破裂音を伴って分節言語が解体され、言葉の深層の意味生成の、発生の根源的な現場に下降するという事態が生起し、新たな身体=意識=言語の領域が垣間見られた。
「現代能楽集」連作
現代能『春と修羅』は、2012年に錬肉工房創立四十周年記念公演として、宮沢賢治の魅惑的な言語世界を手掛かりに、「現代能楽集」の連作の新たな展開が出来ればと上演された。この舞台では、物語世界の再現ではなく、詩集『春と修羅』を中心に、童話『かしはばやしの夜』、劇『飢餓陣営』、書簡、「農民芸術概論綱要」などの断片を再構成し、現代能として作品化された。また、2018年には決定版が再演された。
新しい演劇言語の可能性を切り拓くため、詩人の高柳誠にテキストを依頼した。高柳のテキストは、夢幻能『融』の世界を踏まえながら、舞台を日本の平安期からヨーロッパに転じ、ギリシャ悲劇『エレクトラ』や狂王ルードヴィヒ、マグダラのマリア、さらには米同時テロ以後の、われわれの現代の廃墟の記憶などが重層的に交錯するものであり、報復=正義の意味、復讐の連鎖をどのように対象化し、捉え直すことが出来るのかが問われた。
