とある地方都市に拠点を構え、各種の依存症などの神経症、精神治療に携わる「山根クリニック」。その分室長として「摂食障害」を専門に治療、カウンセリングする医師の桜井鉱一は、部下のケースワーカー・角田早苗とともに、多忙な日々を過ごしていた。過食や拒食などの摂食障害のなかでも、特に象徴的な「食べ吐き」を繰り返す患者達の多くは女性で、最初は人目を気にする「痩せ身願望」から始まった習慣に、身もココロもぼろぼろになっている。「食べる」という基本的な営みゆえに、治療においては、そのような精神あるいは家庭環境の調整、心理的葛藤の解消などをはかるのだが、現実には様々な複数の要因が絡むものもあって一筋縄にはゆかないことも多いのだ。そんな折、患者を取材したいというルポライターをしぶしぶ受け入れた桜井たちだが、立ち会ったクリニックの所長・山音恭子は彼女もまた過食嘔吐を反復する当事者だと見抜く。やがて、このクリニックに自殺した女優の亡霊が出るといううわさが持ち上がり、彼女をめぐるネット怪談や、死後のホームページ管理を生業にするIT関係業者も絡む中、物語はミステリアスに進む。
85年に旗揚げ。観客との想像力共有を信じ、細かい会話研究を武器に、演劇に残されたリアリティと知的エンターテイメントを追求している。池袋演劇祭優秀賞、シアターグリーン賞、名古屋市民芸術祭賞など受賞。代表のはせひろいちは、岸田國士戯曲賞の最終候補に3度ノミネートされている。
時は近未来。国際宇宙ステーション月面基地の日本人居住地区での物語。国際的な共同研究システムの中、わが国は協力負担金のシェアが乏しく、大きなプロジェクトからは外されていた。月面基地自体も、各国の思惑や摩擦が生じ始め、基地開設当初の「国境なき探求ポリシー」にも翳りが見え出していた。そんな折、新人のクルーと共にやってきたのは自ら流動体生物を名乗る「ミュー」という知的生命体だった。科学史に残る記念すべきフ
何処かの地方都市、とある葬儀場の祭壇脇のフリースペース。椅子が数脚おかれた参列者が気楽に腰を下ろせる空間だ。楡原家の質素な通夜読経を終えた比較的穏やかな時間帯なのだが、故人を偲ぶ関係者に加え、遅れてきた弔問客、明日の告別式を前に、打ち合わせや準備にせわしい斎場スタッフでいささかバタバタしてもいる。どうやらたまたま重なった地元の名士の葬儀が、影響してもいるらしい。そんな中、行方不明だった家族の情報が
時は1997年4月21日、南米はペルーの首都リマにある日本大使公邸の「娯楽室」。前年の12月17日の夜に発生した地元のゲリラによる制圧・占拠から4カ月以上が経っていた。加熱する報道、平和解決を望む日本政府と、日本国籍も持つフジモリ大統領との確執、駆け引き。それらの板挟みにあい、死と隣り合わせの毎日を過ごす邦人の人質たちは、それでいて、退屈な日常の中、テーブルゲームや昼食後のいわゆる「ランチタイムセ
