紅花の赤、そして恵みの雨、拾い屋の徳の「残酷な運命」人に化ける、ニセモノ、替え玉、どんでん返しを盛り込んだ井上戯曲の傑作。雨乞いに隠された庶民の思いと引き換えに、一人の男が仕組まれたものとは。東北羽前国平畠藩...そこは一面の紅花の里。瓜二つの紅花問屋の当主になりすまそうとした江戸の金物拾いの徳言葉、習慣を捨て、自ら証明するものを失っていく。騙したつもりが騙されて、替え玉になったつもりの徳を待ち受
大正七(一九一八)年十二月二十六日、宮沢賢治は、故郷花巻から東京に入院している妹・とし子の見舞いを目的に上野行きの夜行列車に乗り込んだ。その手には大きな革のトランクが握りしめられ、たくさんの願いが詰め込まれていた。「大好きな音楽を聞き、エスペラント語の勉強をする。そのためには家の重圧から逃れ、父の庇護の下を離れなければならない。そして何よりも真の生き方を探すことである」賢治は、東京に理想郷を求めて
実話から生まれたいのちの寓話が今、語りかける。ある南の島。ガジュマルの木に逃げ込んだ兵士二人は、敗戦に気づかず、二年間も孤独な戦争を続けた――人間のあらゆる心情を巧みに演じ分け、観る者の心に深く刻みつける山西惇が、再び本土出身の"上官"を演じる。注目の新キャスト・松下洸平は、柔らかく、おおらかな存在感で島出身の"新兵"に挑む。歌手・普天間かおりをガジュマルに棲みつく精霊"語る女"に抜擢。琉歌に乗せ
昭和15年の浅草。小さなレコード店「オデオン堂」に4人の家族と二人の間借り人が仲良く暮らしていた。しかし、陸軍に入隊していた長男の正一が脱走して「非国民の家」扱い。追手がかかり憲兵が住み込みで見張りをする始末。ところが長女・みさをがたくさんの傷痍軍人と交わしてきた文通ハガキの中から選んだ源次郎と結婚するにいたって、今度は一転「美談の家」に。ジャズ(=敵性音楽)が好きで歌謡曲(=軟弱な音楽)が好きな
明治七年、東西の話し言葉がテンデンバラバラだった頃。文部省官吏の南郷清之輔に「全国統一の話し言葉を制定せよ」という命令が下った。この日から、南郷家は、お国訛りをめぐって大騒ぎ。清之輔は、話し言葉の全国統一の前に、まず我が家のお国訛りによる大混乱におそわれる。カタコト英語しか喋れないピアニストの奏でる幻の「小学唱歌集」にのせて展開する、言語学的な悲喜劇の末、ついに清之輔が辿り着いた「文明開化語」とは
PARCO PRODUCE 2021
本作品は、2019年ロンドンのアルメイダ劇場のアソシエイトディレクターであるロバート・アイクが、1912年に発表されたシュニッツラーの「Professor Bernhardi(ベルンハルディ教授)」を翻案、演出し、同劇場で開幕するやいなや、連日SOLD OUT、ザ・ガーディアンをはじめ各紙でFIVE STAR★★★★★(最高評価)で絶賛され、翌2020年、英国で最も権威あるローレンス・オリヴィエ賞
18世紀末のロンドン。エレファント・マン(ジョン・メリック)<藤原竜也>はその奇形から長く人に迫害されながら育っていく。見世物小屋にいたメリックは若くして地位を得た解剖学者トリーヴズ<今井朋彦>と出会う。ロンドン病院で保護され暮らしていくメリックに普通の人生を送らせようとトリーブズは努力するが周囲の好奇の目は止まない。そんな中女優のケンドール夫人<小島聖>がメリックの元を訪れ二人の交流が始まり、や
ローマ帝国皇帝カリギュラ(菅田将暉)は最愛の妹を亡くし、姿を消す。国政が滞り、右往左往する貴族たち。3日後、ようやく現れたカリギュラはエリコン(谷田歩)に、不可能なことを手伝うよう、内密に頼む。その一方で、王としてあらゆる民から財産の没収を突然宣言し、人々を混乱に陥れた。 それから3年。カリギュラは、処刑、横領、貴族の妻を奪い公営売春宿で働かせる、市民の食料保管庫を閉鎖して飢饉を起こすなど、暴君の