「25年前の俺たちが、今の俺たちを見たらどう思いますかね」
時代の狭間に生きる哀歓を描く、 ケラリーノ・サンドロヴィッチの新境地!
1993年、バブル景気が終息した日本。旅行会社を経営する赤本建三(三宅弘城)は、東京郊外の一軒家に妻の亜子(坂井真紀)と娘の桃子(根本宗子)と住む。家には亜子の弟・光吉(赤堀雅秋)が居候し、その元妻・浩子(新谷真弓)が夜な夜な訪れる。
だがある深夜、七ツ森豊(安井順平)の死を知らせる電報が届く。建三と亜子には同志の学生たち(眼鏡太郎、皆戸麻衣ほか)と運動に身を投じた過去があった。七ツ森は彼らのセクトのリーダーであり、ある事情で25年前に植物人間になっていたのだ。そこへ突如、かつての同志で演劇仲間だった立石伸高(みのすけ)が来訪し──。
七ツ森が遺したノートから、明らかになっていく25年前の「真実」。革命を夢見た人々と、その子供たちがたどり着く「然るべき場所」とは?
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
ナイロン100℃の前身となる「劇団健康」は、1985年、当時のインディーズバンドブームの中心的存在にあったバンド「有頂天」のボーカルを務めていたKERAを中心に、犬山犬子(現・犬山イヌコ)、田口トモロヲ、みのすけらによって旗揚げされた。ナンセンス・コメディを中心とした本公演14作品と数々の番外公演を上演し、高い評価と人気を得るも、1992年に解散。翌1993年、再びKERAを主宰として、犬山、みのすけ、峯村リエ、三宅弘城、今江冬子、藤田秀世、手塚とおるらで、ナイロン100℃を立ち上げ、1st SESSIONとして『インタラクティブテクノ活劇 予定外』を発表。
公演をSESSIONと称することに表れているとおり、劇団員に加えて客演やクリエイティブ・スタッフとともに、ナイロン100℃にしかできない表現を生んでいる。
これまでナンセンスな笑いを交えた作品をはじめ、シチュエーション・コメディ、ミステリー・コメディなどを上演してきたが、近年は岸田國士、フランツ・カフカ、別役実などをオマージュした作品や、壮大な群像劇など、多彩な舞台を発表している。
2019年、第45回公演『百年の秘密』(再演・2018年上演)にて、第26回読売演劇大賞 最優秀作品賞を受賞。
2010年、執筆活動25周年を迎えたKERAが劇団に書き下ろした新作は、差別意識や偏見の問題を俯瞰しながらも、いつの間にか、もっとずっと遠くに立っている、そんな物語。その朝、廃墟と化したその街に辿り着いた五人の男女(三宅弘樹・峯村リエ・小出恵介・緒川たまき・マギー)。何が起こったのかはわからない。大地震なのか、それとも戦争なのか──。救助隊を自認する彼らが暮らしてきた街も同様の状況らしいが、「この
KERAのタイムスリップ・コメディの第一作。テクノな青春を駆け抜ける三人の女の子を通してあの時代のトーキョーを描いた、映画「1980」のプロトタイプとも言える作品。女子高生のチカ(松野有里巳)は、高校教師のケンタロウ(手塚とおる)への恋心に駆られ、彼の過去を変えたいがために1994年から1979年にタイムスリップ。15年前の東京で、チカは福岡からの転校生ミキ(宮前真樹)、ケンタロウの幼なじみのマユ
永作博美、阿部サダヲ、古田新太らを迎えた、小劇場バックステージもの。次々と襲いかかる困難に立ち向かう弱小劇団を描いたシチュエーション・コメディは、後に様々なエピゴーネンを生み出すことになった。2036年、東京。21世紀の演劇人たち4人がバーに集い、90年代に演劇野郎だったという老マスター(廣川三憲)の回顧話を一晩中聞くことに。話の舞台は1996年の下北沢。劇団“下北ビートニク”の新人スタッフとして
「大切なのは、この人達がこれから先も生きていったってこと──」三姉妹の〝光と闇〟を描く、ナイロン100℃家族劇の傑作!1976年。小説家・柏木伸彦(廣川三憲)は伯母から家を譲られ、妻・基子(松永玲子/2役)、7歳の長女立子(犬山イヌコ)、5歳の次女艶子(峯村リエ)、2歳の三女類子(坂井真紀)と御五色村に転居した。そこに伸彦のファン、三好(三宅弘城)が転がり込む。立子は10歳で文壇にデビューし才能を