ヴィンセント・ヴァン・ゴッホを演じた滝沢修伝説の舞台。1950年に創立した民藝に三好十郎が書き下ろしました。翌51年に初演された舞台は滝沢らのすぐれた演技で絶賛をはくし、3か月で6万人を動員しました。宣教師を志したゴッホはその献身ゆえに解雇され、自分を捧げる道を絵画に求めます。しかし、パリで印象派の画家たちと画論をたたかわせ、浮世絵の日本にあこがれるのですが、絵は一枚も売れません。ゴッホは待ち望んだゴーガンとの共同生活をアルルで始めます……。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇団民藝は1950年4月3日に創立(前身は1947年発足の民衆芸術劇場=第一次民藝)。築地小劇場、新協劇団など「新劇」の本流を歩んできた滝沢修、清水将夫、宇野重吉、北林谷栄らによって「多くの人々の生きてゆく歓びと励ましになるような」民衆に根ざした演劇芸術をつくり出そうと旗あげされました。2000年からは大滝秀治、奈良岡朋子が代表をつとめ、現在は小杉勇二、樫山文枝、日色ともゑ、丹野郁弓を中心に、劇団ならではの層の厚さを生かしたアンサンブルによる密度の濃い舞台づくりをめざしています。
生涯をかけたテーマとして戦争責任の問題を追及した木下順二の『夏・南方のローマンス』は、1987年に宇野重吉演出で初演、2013、18年に丹野郁弓の演出により上演しその今日性がふたたび鮮烈に蘇りました。庶民の目線から戦犯裁判を見つめることで、日常的で人間的な人びとの愛や苦悩が壮大な構想の下に描かれています。
新劇の名優、奈良岡朋子と仲代達矢が初共演。劇団民藝と無名塾との提携公演です。1948年、米ジョージア州アトランタ。夫を亡くし一人で暮らしていた72歳のデイジーは、ある日、車の運転中に事故を起こしてしまいます。心配した息子ブーリーは黒人の運転手ホークを雇いますが、独立心が強く黒人嫌いのデイジーは頑としてホークの車に乗ろうとしません。しかし二人の間にはいつしか不思議な友情が育まれていくのでした……。
日本演劇史に燦然と輝く金字塔――リアリズム戯曲の最高峰と言われる久保栄渾身の人間ドラマ、2部作の第1部です。日本がファシズムへの道を突き進む1930年代の北海道を舞台に、農業技術の発展とそれを阻む古い生産関係との相克を描き、この国の近代の特質を構造的に摑まえようとした大作。農産実験場の支場長は、十勝の火山灰地にはカリ肥料が重要だと力説する。しかしそれは義父でもあり恩師でもある農学博士にたてつき、国
アメリカの新進劇作家トム・トポーの問題作。ブロードウェイで絶賛を博し、79年度ベスト・プレイに選ばれたスリリングな裁判劇。