40歳を超えて定職につかない独身の男「正」がアパートの一室に独立国を作る。そのアパートの家賃は年老いた母親の年金生活で賄われている。「ガイド」と呼ばれる男に導かれ、日本からの亡命を試みる兄妹と「正」の母親が、その独立国を訪ねる。アパートの隣の部屋には、騒音に近い音楽を聴きながら洗濯物を干す女が住む。彼らは自らの領土を主張しながら、奇妙な同居生活を始める。日本人独特の親子のつながりや登場人物たちの孤独を考察した2011年岸田國士戯曲賞受賞作品。
劇作家・演出家の松井周(1972-)は、2007年に劇団サンプルを結成。松井が描く猥雑かつ神秘的な世界の断片を継ぎ目なくドライブさせていく作風は、世代を超えて広く支持を得ている。2018年フェスティバル・ドートンヌ・パリ参加作品。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
松井周(劇作家・演出家・俳優)の主催する個人ユニット。青年団自主企画を経て、2007年に劇団として旗揚げ。『自慢の息子』(2010年)で第55回岸田國士戯曲賞を受賞。
2016年『離陸』でKuandu Arts Festival(台湾)に参加、2018年『自慢の息子』でフェスティバル・トートンヌ・パリ(仏)に参加した。
兄夫婦と弟は同じ家に住んでいる。妻への不信感から兄は弟に「妻と二人きりで一泊してきてほしい」と願い出る。そして、その間に起きたことを逐一報告するようにと。夏目漱石の『行人』のシチュエーションを借りて、変化していく三角関係の行き着く果てを描く。2016年Votage-2016 Kuandu Arts Festival参加作品。
松井周が主宰する劇団サンプルの解散公演。「モツ宇宙(コスモ)」という腸の宇宙を世界の始まりと考えるコスモオルガン協会の信者達による、教祖ピグマリオが生まれて死んで復活するまでの宗教劇。 と同時に、放浪し、虐げられる信者達の生活を描く。 彼らの行き着く先に「救い」はあるのか? 人間は神にもなれず畜生にも堕ちきれない。理性からも野生からも自由になれない中途半端な人間たちが、信仰をもとに生き抜いていくサ