1952年、新派にて初演された『京時雨濡れ羽双鳥』は、京都鴨川に架かる木橋の下に住む謎多き女・ゆきを中心に、若い巡査や盲目の親子らが織りなす物語。(今回、俳優座としては初演)。
『花子』は、娘の「花子」と養鶏している「花子」を対比する母親の思いをのどかな農村で展開する短編。1950年、俳優座創作劇研究会にて初演。
ともに俳優座の座付作家であった田中千禾夫の戯曲。前者は能、後者は狂言に着想された二編を同時上演。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
1944年2月に青山杉作、千田是也、東野英治郎、小沢栄太郎、東山千栄子、岸輝子ら10名の同人をもって出発した劇団俳優座は、常に高い理想をかかげ演劇の正道を目指し活動を続け、創立80周年に向けてさらに前進を続けます。
自然の森と、人工的な宮廷とを今日的な視点で風刺をこめて対比させ、森の中でくりひろげられる恋人たちのジグソーパズルを、歌と踊りを交えておおらかに描き出す。劇団俳優座が1978年に初演し、全国各地で感動と絶賛の嵐を呼んだ、オールメイルプロダクション(すべての役を男優だけで演じる)の傑作が、装いも新たにダイナミックによみがえります。
権力・宗教・それとも愛___権謀渦巻く英国を舞台に繰り広げられるメアリとエリザベスの確執。
これは夢遊の物語。彼女らは日本の中国侵略政策の犠牲となり、かつて”満州”と呼ばれた地に送り込まれ、敗戦後四十七年を捨て置かれた激動昭和の落し子である。その残像の中に去来する一人一人の影と呟き合い、罵り合う慚愧と悔恨の綴れ織である。日本および日本人を深くえぐり、人間の暗部をあらわにして喜劇的側面を描出するに得意な藤田傳の劇団俳優座に初めての書き下ろし作品。
スペインの港町カディス。ある夜、彗星の光が町を覆った。数日後、夏の陽光に市場も民衆も活気づくある日、一人の男が女を従えて町に現れ、戒厳令が敷かれる。COVID-19禍、ベストセラーとなったカミュの『ペスト』。彼がその小説をものした翌年、自ら戯曲として発表したのが『戒厳令』だ。ナチスに対抗するレジスタンスの「寓話」とも称される作品。「ペスト」と名乗る支配者に挑む青年医師ディエゴ。果たして……。