盲目で生まれた杉の市は、盗みや脅しは当たり前、ついには人を殺めてしまう。
殺し殺してまた殺し、その手を血に塗れさせ、悪の限りを尽くしながら、
己の身と金の力を頼りに、江戸の盲人の最高位である検校にまで登りつめる。
東北の地から江戸へと流れてきた少年は、運命の大きな流れに流される―。
二代目藪原検校の、その悪行三昧、闇の世界の一代記。
「来世は目明きに生まれてくるぜ。そうして、おっかさんの顔をしみじみと拝ませてもらわあ。」
2012年上演の折、「今、藪原検校を演じるのはこの人しかいない」
とまで言わしめた野村萬斎を再び二代目藪原検校・杉の市に迎え、
多彩なキャストでお送りする "悪漢物語(ピカレスク)"待望の再演。
津軽三味線を思わせる千葉伸彦のギターが舞台を彩る。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
私たちは、人を泣かせたり、笑わせたりしている会社です。
座付作者井上ひさしに関係する作品のみを専門に制作、上演しています。
1983年1月に創立し、84年4月『頭痛肩こり樋口一葉』公演で旗揚げ。
以降、新作、再演、こまつ座旗揚げ以前の井上作品も織り交ぜて、出演者・スタッフとも作品ごとに依頼し、その作品だけの一座を組むプロデュースシステムをとり、年平均4~6作品(200~250ステージ)を上演し続けています。
進駐軍の占領下で、今日を生き抜くために人びとは闇の売り買いに必死だった。親を亡くし、子を亡くし、夫を亡くし、友を亡くした人びとが、世の中の新しい枠組みの中で、無我夢中に生きていた。ひとり息子の健太郎を戦地に失った愛敬稲荷神社の神主牛木公磨も、今では近くに住む五人の未亡人たちと寄り合って、闇米の調達に奔走している。そんなある夏の日。思いもかけず、死んだはずの健太郎が愛敬稲荷神社にひょっこりと帰還する
これは井上ひさしが紡いだ敗戦のひとつの真実。そしてラジオの魔法。私はだれでしょう。だれであるべきでしょう。ラジオはいつも人々のそばにあった。戦時中は「大本営発表」、8月15日は「玉放送」。敗戦後、東京放送会館は建物をGHQに接収されていたが、「復員だより」「街頭録音」「のど自慢」そして「尋ね人」・・・人気番組は多く、あの頃、ラジオを聞いていた。これは戦後のラジオ放送にひたむきに取り組む放送局職員た
昭和庶民伝三部作 第一部
昭和庶民伝三部作・第一部 紀伊國屋書店創業60年記念提携公演昭和15年の浅草。小さなレコード店「オデオン堂」に4人の家族と二人の間借り人が仲良く暮らしていた。しかし、陸軍に入隊していた長男の正一が脱走して「非国民の家」扱い。追手がかかり憲兵が住み込みで見張りをする始末。ところが長女・みさをがたくさんの傷痍軍人と交わしてきた文通ハガキの中から選んだ源次郎と結婚するにいたって、今度は一転「美談の家」に
26年という短い啄木の一生の最晩年の3年間を、啄木の死の翌年、作品を残された妻・節子が回想するという形で描かれた本作は、貧しさと病に喘ぎながらも、人生の辛苦に耐え忍び健気に生きる啄木、また時に我儘で身勝手でそして剽軽な青年啄木の家庭劇でもあります。