昭和九年十二月二十四日月曜日。東京本郷区曙町にある理学博士寺田冬彦邸。
主、冬彦がしかつめらしい顔で煙草をくわえている。別に、怒っているわけではない。普段のことである。
まわりには妻りんをはじめ、個性豊かな家族が太陽系宇宙のように取り囲む。
そこに突然彗星の如く事件が飛び込んできた!
小春日和に雲が差し、雨からやがてしんしんと降る雪に変わる。
招き猫が見守る中、寺田家の喜怒哀楽の一週間が過ぎてゆく。
演劇博物館別館6号館3階「AVブース」にて視聴可能です。
劇団俳優座に在籍していた10名の若手俳優たちが日本の現実を反映させた創作劇の上演を強く願い、1954年劇団青年座を創立しました。現在劇団員と研究生をあわせ約200名が所属。創作劇の他、海外現代戯曲、過去の秀作等、幅広いレパートリーを有しますが、創立からの基本理念は変わることはありません。今後も日本の創作劇上演を柱にした公演活動を続けることによって、日本演劇の民主的発展に寄与し、舞台芸術を通して日本文化の向上をはかることを目的として活動します。
米・北東部ニューイングランド地方、ゴールデンポイントと呼ばれる湖があった。朝夕照らし出される湖面はまさに《黄金》に輝き、湖畔の閑静な別荘は都会の喧騒から離れ一夏を過ごす人々のやすらぎの場であった。間もなく80歳のノーマンは厳格で頑固ものでユーモアと教養を持ち合わせていたが、老いと忍び寄る<その時>への影におびえ苛立っていた。妻エセルは対照的に変わらぬ快活さを見せているが最近の夫が気がかりだ。夫婦の
青年座・セレクションvol.2
昭和二年生まれの流行作曲家の河津昭治には、昭和二〇年八月一五日を境に封じ込めた「過去」があった。教え子で婚約者の悠子は、積極的に安保改定阻止デモに参加するのだが、昭治はその行動についていけない。そんな時、かつての自分と同じように狂信的な右翼思想にとらわれている少年と出会う。昭和三五(一九六〇)年の大政治闘争の渦の中、昭治の思想の振り子は再び大きく揺れ始め、封じこめていたはずのあの「過去」を浮き彫り
サプリメント販売で急成長を遂げた嶺岡幕府商事。社長がちょんまげ姿で登場するCMが大人気で主力商品減量丸は大ヒットを続けている。社長の嶺岡義政とその元妻富子はなぜか異常な室町幕府好き、社長を将軍と呼ばせ、京都室町本社を室町御殿、東京事務所を鎌倉御殿と名付けて室町幕府を偏愛する奇妙な経営を行っていた。この会社には一年間だけ鎌倉御殿で研修する制度があり、ある日、女性が一人やって来た。さて、そこで待ち受け
明治45年夏、福岡県糸島郡今宿の海辺の家でノエは進退窮まっていた。東京の女学校卒業後に決められていた結婚が嫌で飛び出したのが春の終わり、恩師だった辻潤のもとへ身を寄せ、「青鞜」の平塚らいてうと出会い、離婚のため戻ってきたが親族はみな猛反対。東京に戻る金もなく針の筵だったある日、「どうせ死ぬならケエツブロウよ、かなしお前とあの渦巻へ―」と謎の文句を残して消えたノエ…。伊藤野枝激動の生涯を、生まれ故郷
