青森の鍛冶屋の息子として生まれた志功は、幼い頃から絵の才能に恵まれてはいたが、強度の近眼。家業が立ち行かなくなり、裁判所の給仕になった時に眼鏡を与えられ、「先生、見えすぎます!」と躍りあがった志功は、絵への情熱が爆発し、画家になる決心をする。ゴッホに触発され、画業のために上京した志功は、挫折を繰り返しながらもついに帝展に入選。凱旋した故郷で、運命の人、チヤと出会い結婚する。チヤの愛情に包まれ、世界
【あらすじ】1910年(明治43年)、旧南満州・旅順の監獄に、ハルビン駅で初代韓国統監であった伊藤博文を暗殺した安重根が収監されてくる。日露戦争の戦勝国としての体面を保つため、〈無事に〉安の死刑を執行すべく派遣されるエリート外務省高官と、監獄の長である典獄、看守長、獄内の情報提供者である模範囚、皮肉な傍観者を気取る監獄医らの確執の中で、統監府から差し向けられた通訳と死刑囚・安重根との静かな対話が、
時は1973 年。70年代ロックにどっぷりと浸かり、大人への階段を上っている途中の若者たちが織り成す悲喜こもごも。代議士の息子である甲野欽吾は売れないロック雑誌「エピタフ」を刊行している。盟友である宗近、小野、浅井らが編集に携わるという、いわゆる同人誌的な雑誌であった。ある日小野と浅井が「エピタフ」を辞めると言い出す。それと同時に甲野の腹違いの妹である藤尾は司法試験のために勉強中である小野に急接近
<あらすじ>60歳を過ぎたウィリー・ローマンはかつてのような生彩を欠き、輝かしい未来が広がっ ているかに見えた息子たちも30を過ぎて自立できず、妻のリンダは献身的に夫を支える が、家庭の中に希望の光は見出せそうにもない。夢を叶えるにふさわしい仕事こそセール スマンであると信じてきたウィリーに、時代の変化は容赦なく彼を置き去りにしようとし ている。信念に固執するウィリーが家族のため、そして何より自分
中間管理職で定年退職したばかりの山崎は、 新宿から電車で1時間半という距離にあるニュータウン『くぬぎ台』に住んでいる。 始発で家を出て終電で帰宅するようなサラリーマン時代には、それほど気にもとめなかったが、定年を迎えてから、何もすることがない日々に何と退屈なところだろうと思ってしまう。山崎は時間つぶしに町内のウォ―キングを始め、同じ定年散歩仲間が出来た。彼らとの交流を通して踏み出す定年後の新たな一
今日を限りにブンヤ稼業から足を洗い、婚約者共々ニューヨークへ旅立とうをする敏腕記者のヒルディ・ジョンソン。その彼をあの手この手で引き留めようとする編集長ウォルター・バーンズ。そんな彼らの前に選挙のことしか頭にない市長と大まぬけの保安官が引き起こした死刑囚アールの脱獄事件が発生。一癖も二癖もある記者たちのスクープ合戦で記者室は上を下への大騒ぎ。
<あらすじ> 1886年(明治19年)、東京・麻布鳥居坂の白河義晃子爵邸。当主の白河義晃は急速に西洋化する日本になじめず、酒浸りの日々を送っていた。ある日、外務卿・井上馨の書生と白河家の家令雛田源右衛門の間に一悶着が起きた。雛田は時代遅れのちょん髷をからかわれたばかりか、因循姑息な白河子爵は華族の資格なしと罵倒されたのである。それを聞いた義晃は怒り心頭に発し、これまた時代遅れの討ち入りを決意。しか
生涯に93回引っ越したという北斎が僅かな家具道具を載せた大八車を曳き、娘のおえいが押している場面から始まる。絵を描く事にしか興味がない葛飾北斎、絵師としてまるでうだつの上がらない歌川国芳、武士でありながらいずれは絵の道に専念したいと願う渡辺崋山。彼らは今日も北斎の家に集い、議論を戦わせていた。そこには北斎の弟子で、腕はいいのに師匠の世話ばかりしている蹄斎北馬、父北斎に振り回されながら、やがては自分
「マイ・チルドレン! マイ・アフリカ!」は一九八九年にヨハネスブルグで初演、その翌年ロンドンのナショナル・シアターに招かれ評価を得た作品です。社会との調和を尊ぶ古いタイプの理想主義者である黒人教師。絶望感の中から自由を求めて暴走する黒人の教え子。人種差別反対の尊さに目覚めた白人の女子高校生。たった三人の登場人物で、友情と愛情と信頼を無残に打ち砕く南ア社会の現実を描ききったこの作品は、アパルトヘイ
自由主義のバンダーホフ家の次女が結婚する相手トニーは、大会社の二代目社長の息子。婚前の家族顔合わせを約束するが、トニー一家が日を間違えてやって来てしまう。対照的な二つの家族が巻き起こす騒動を描く。
土岐は1963(昭和38)年、金融業者の武市浩蔵は妾駒代の家で急死する。報せを聞いて本妻の松子と浩蔵の妹タキが駆けつけた。お互い’カボチャ婆’”電気クラゲ’’キツネ’と陰口をきいている三人の遭遇である。四十九日も無事に済ませ松子は一安心するも、タキが兄の家に住むのは当然と押しかけてきた。さらには駒代も新橋の料理屋の普請が済むまで部屋を貸してほしいとこれまた居座ってしまう。かくして本妻と妾と小姑、一
時は明治14(1881)年、商人や船乗りが行き来し活気あふれる小樽の町なかに、煮売り、代書、髪結、俥などを商う小さな店「きし屋」があった。そこに片寄せ合って生きているのは、年齢もバラバラ、といって家族でもない、いわくありげな三人の女とその仲間たちだった。彼女たちはなぜ結びつうき、ここ北の果て小樽にたどり着いたのか? そしてやくざから立ち退きを迫られている「きし屋」の運命は?
東京にあるビルメンテナンス会社・美装総合サービス。社長の紘子、ベテランの直美、シングルマザーの美鶴、22歳の健太らはビルの清掃にやりがいを感じながら仕事をしている。そんなある日、越田と遥が新型コードレス掃除機の営業にやってくる、いいことづくめのこの掃除機。従業員の負担が少しでも減れば…と紘子は一台お試し購入することに。ところがその実態は真っ赤なウソだった!!!